共助への行動 地域社会と手を携える寺院(4月26日付)
災害時に自治体や関係団体と仏教者が連携して支援活動を展開する動きが広がりつつある。京都府の亀岡市仏教会は3月、災害時に協力体制を敷く協定を同市社会福祉協議会と結んだ。同仏教会は昨年10月、市と提携し、加盟寺院の一部が一時避難所となる提携を結んでおり、今回の協定締結で、今後は同協議会が運営する災害ボランティアセンターの研修等に参加し、また被災者のニーズに合わせた支援に協力する。
防災マップ上で安全な地域に位置する市内寺院の約30カ寺が一時避難所となることに賛同しており、災害時に駐車場や建物、井戸を利用してもらうことが可能になるという。同仏教会の満林晃典会長は平時から同協議会と連携する考えで、「仏教の英知を社会の中で生かし、人々の苦しみに寄り添っていきたい」と語っている。
災害はいつ発生するか分からない。そのため災害を予測し、被害を軽減する「減災」への取り組みが重要となる。災害対策には、自分自身や家族で備える「自助(一人一人の役割)」、地域で助け合う「共助(地域の役割)」、行政が行う「公助(行政の役割)」の三つがあり、基本は一人一人が防災意識を高め、「自助」の力を高めることにある。
一般的に、災害時の助けは「自助70%、共助20%、公助10%」といわれている。災害が大規模になればなるほど、行政(公助)の対応力は小さくなり、自助・共助の重要性が増大する。実際、阪神・淡路大震災で家屋の倒壊による生き埋めや閉じ込めから救助された人の約8割が家族や近所の人たちによって救出された。被害を最小限に抑えるためには、それぞれが災害対応力を高め、連携する力が求められるのが現実だ。
「公助」のレベルアップこそ最優先課題だと言いたいが、防災マニュアルは、基本的な考え方として「自らの命は自らが守る」ことを明記し、普段から防災意識を高め、「自助」努力を払うことが個人に課せられた責務であり覚悟だとしている。地域での助け合いも重要で、高齢者など自力で避難ができない人の手助けや避難所運営での協力等、「共助」は不可欠の行動となる。
「共助」の働きを速やかに起動させるためには、自主防災組織を結成するなど地域の防災力を高め、日頃から災害に備える体制を整えておく必要がある。その意味でも、具体的な支援活動に仏教者が積極的な役割を担う意識を持ち、寺院が地域社会と手を携えて「共助」の輪を広げる行動を起こしていることは意義深い。