近世期の浄土真宗は他宗派に比べ堕胎と間引き(嬰児殺)を強く戒めた、と言われてきた。これは浄土真宗本願寺派、真宗大谷派などを問わず浄土真宗一般の傾向と言われ、近代以降の社会…
コロナ禍以降の世界の構図 今日の世界のおかしさを喩えた話として、こんな場面を想像してほしい。私自身が実際に、かつて体験した挿話にも基づいている。 あなたが精神的な不調を抱…
一、本覚思想とその評価 本覚思想とは「人は本から覚っている」という思想である。狭義的には「天台本覚法門」のことを指すが、広義にはそれと同様の内容・傾向を有する思想全般も「…
能登半島地震発生から1年がたった。昨年に現地での炊き出し活動に参加した際、我々の慣れない作業ぶりに、被災して自宅も親族も失った中年女性が助けの手を差し伸べてくれた。苦難の…
自心の源底について 『大日経』は密教の覚りを「如実知自心」と示している。その究極を、空海は『秘密曼荼羅十住心論』「秘密荘厳住心」の冒頭に、次のように示している。 秘密荘厳…
エジプトの近代化と世俗主義 今日、私たちが問われているのは、「近代という、謎めいた経験」に対する自分なりの意味の咀嚼である。本稿ではその手がかりとして、エジプトをはじめと…
先年、筆者は『親鸞 左訓・字訓・語訓辞典』(法藏館)を刊行した。その編纂の中で親鸞聖人の著作の中に、現代の価値観から見れば明らかに身体的、職業的差別言辞と見られるものが多…
長年愛用しているインターネット古書店サイト日本の古本屋で、「和訓図会」と入力して検索をかけてみる。そうすると、たちまち50~60部の古和書がヒットし、それらの多くが江戸時…