PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
2025宗教文化講座
PR
2025宗教文化講座

破壊の限りを尽くす 入植者植民地主義の国(2月5日付)

2025年2月7日 09時39分

第2次大戦後、インドの独立をはじめ世界に脱植民地化が広がる中、イスラエルは逆に入植者植民地主義によって建国を実現した。通常、植民地は宗主国が資源や労力を搾取する形だが、入植者植民地主義は入植者が先住民に取って代わり、自分たちの国をつくる。

米国が代表的な例だが、当然ながらその建国は、排除された先住民の激しい抵抗に遭う。今も酸鼻を極めるパレスチナ紛争の核心はそこにあるが、紛争の本質がイスラエルの植民地主義にあっても、特にキリスト教圏の米欧社会はそれを認めない。パレスチナは神からユダヤ人に与えられたという固定観念からだ。イスラエル人の多くも、紛争は自分たちの永遠の祖国を異民族の敵意から守る戦いと確信しているようである。

加えて、欧州での長きに及ぶ迫害、とりわけナチスによるホロコーストの体験が、イスラエル批判を全て「反ユダヤ主義」と決め付け封じ込める力を与えている。イスラム組織ハマスの襲撃から1月の停戦合意まで1年3カ月間、イスラエルがガザ地区で行ったためらいのない破壊と大量虐殺は、そうした要因が重層的に作用している。ガザでは約4万7千人が死亡、建物のがれきに埋もれるなどの行方不明者を合わせ犠牲者は6万人を超え、その7割は女性と子どもという。200万人以上が家を失ったが、家屋や公共インフラなど生活基盤を徹底的に破壊し、避難民が戻れなくするのが建国以来、難民の帰還を拒否しているイスラエルの手法とされる。

昨年11月、ハマスの指導者と共にイスラエルのネタニヤフ首相らに国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出した。首相らの容疑の一つが、戦争遂行の手段としてガザ住民を飢餓に追い込んでいることとされた。イスラエルはヨルダン川西岸地区でも「対テロ戦争」を強化し始め、入植地を拡大、抵抗するパレスチナ人約800人を殺害したという。イスラエルは、ハマスせん滅を口実にパレスチナ全土からパレスチナ人を排除することが最終目的だと一部で疑惑が指摘される。強固なイスラエル支持のトランプ米大統領が先日、ガザ住民をヨルダン、エジプト両国が受け入れるよう求めたのも、それと関係すると見るのが自然だ。

歴史をたどれば、ヨーロッパでのユダヤ人差別がイスラエル建国の遠因となったが、自由と平等、民族自決が国際ルールとして定着した今、力の弱い民族が流浪の民にされかねない。その理不尽とどう向き合うか。宗教者も避けることができない難題を突き付けられている。

第2次政権の宗教化? どうなる米の「宗教の自由」(2月19日付)2月21日

トランプ大統領は7日、大統領令によってホワイトハウス信仰局(Faith Office)設立を発表した。局長には福音派のテレビ伝道者で「繁栄の神学」の信奉者であるポーラ・ホ…

最期のブッダ 無常の世に永遠の道を説く(2月14日付)2月19日

ブッダの遺徳追慕と報恩のために営まれる涅槃会(2月15日)が近づくと、仏伝に記された臨終の姿が偲ばれる。最後の旅路における出来事は数種類の典籍を基にした経典に伝えられてい…

能登で増える関連死 阪神大震災の教訓生かされず(2月7日付)2月14日

能登半島地震の関連死が増え続け、300人に近付いている。地震と津波による直接死228人をはるかにオーバーしたのは、阪神・淡路大震災の教訓が無視され、自然災害より人災と言え…

本願寺派定期宗会26日招集 予算案否決の可能性 領解文問題、打開策示すか 総局の対応焦点に

ニュース2月21日
川名観惠新法主

新法主に川名氏 28年ぶりに交代 善光寺大本願

ニュース2月21日
野口総長・山本議員が立候補 3月に宗務総長選 妙心寺派宗議会を招集

野口総長・山本議員が立候補 3月に宗務総長選 妙心寺派宗議会を招集

ニュース2月21日
このエントリーをはてなブックマークに追加