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半世紀続ける寺報 紙媒体の距離感生かし

大阪府寝屋川市 法華宗本門流正立寺 川口正継住職

寺報『サットバ』を手にする川口正継住職㊨と日空前住職 寺報『サットバ』を手にする川口正継住職㊨と日空前住職

大阪府寝屋川市・法華宗本門流正立寺の川口正継住職(44)は、師父の川口日空(勇)・前住職が始めた寺報を引き継ぎ、季刊誌『サットバ』を刊行している。『サットバ』は1974年5月3日創刊の『聖流』という新聞が前身で、次号で52年目を迎える。最新号では生成AIを駆使して作成した挿絵や小説風の読み物を掲載するなど、住職自身が原稿執筆、編集も手掛ける。

日空前住職は在家出身。明恵上人や道元禅師など法華経以外の教えも研究したが、縁あって1606年開創の正立寺に入寺した。1985年に庫裡、97年に本堂、2007年に鐘楼堂を建立し寺観を整えた。10年前に住職を退任した後は俳句に邁進し、変わらず原稿と俳句を投稿している。

『聖流』は寄稿文も集め本格的な新聞だった。後にA5判冊子に一新、印刷機を庫裡に導入し「インクまみれ」になりながら寺族で製本した。作業の負担から200号を機にやめようと思ったが、小学生だった正継住職に「やめたらあかん」と言われ、継続を決断。現在まで刊行が続く。

正継住職は、紙媒体の魅力は読者との「程よい距離感」と考える。寺報は送付した相手が実際に読んでいるか分かりにくいが、檀家が読み込んでくれ、読んだ僧侶から「法話のヒントになった」との声をもらう。不特定多数ではない顔が見える読者だからこその緊張感がある。

昨今は「お寺が発信するべきだ」との風潮が強いが、僧侶の本分は「受持・読・誦・解説・書写」だと考える。長く住職を務めた老僧に「お寺はお経を唱えて掃除をしておけばよい。ほかのことをする必要はない」と言われた。当時「それはうそだろう」と思ったが「最近は真意が分かるようになった」と言う。

ウェブサービスのシステム開発に関係する仕事も経験した。同寺は公式ウェブサイトやSNSでの発信はしていないが準備を進めており、その方面に疎いわけではない。新しい事も大切だが先祖供養という変わらないものを求める人もいる。お経を読んで喜び涙を流す人たちの気持ちや対面する機会を大切にしたい。

伝統的な教えを現代社会で動かすには当時動いていたシステムを現代に移植する工夫が必要だ。「そういった時には、法華経に立ち返れと言ったのが日蓮聖人、日隆聖人ではなかったか。法華経と現代の社会や生活とをつなげるために、自分と読者にとって『サットバ』を立ち止まって考える場所にしたい」と話す。

(磯部五月)

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