PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
2025宗教文化講座
PR
2025宗教文化講座

古文・漢文の教育 文化的含蓄を学ぶ意義(11月15日付)

2024年11月20日 09時44分

学校教育において古文・漢文の教育は不要だとする議論は、毎年のように起こる。グローバル化や情報化に対応するため、以前とは異なった教育が必要と主張する人が増えている。英会話の能力を高める教育や、情報機器の使い方、プログラミング能力を養う教育への要請がその最たるものである。

こうしたことが古文・漢文教育不要論に拍車をかけている側面がある。就職などにすぐ役立つかと言えば、グローバル化や情報化への対応を視野に入れた教育には、古文・漢文教育は太刀打ちできない。だが学校教育はそれぞれの社会が営々として積み重ねてきた文化的蓄積を継承し発展させる場でもある。この点が、古文・漢文不要論では見過ごされがちである。

とはいえ現在の古文・漢文教育が大きな問題を抱えていることも間違いない。文法や細かな語義の解釈などに比重を置き過ぎている。これが古文・漢文に親しみを持つどころか拒否感さえ持たせる結果になってしまっている。

古文・漢文は使われなくなった言葉ではない。現代の言葉の基層にあり、現代の言葉を生んだ母体でもある。現代文化や現代社会をリバースエンジニアリングすれば、これまでの歴史のどこかにその根が存する。現代の言葉の使い方さえ知っていればいいというのは、過去の努力や過ちを学ぶ必要がないと考えているのに等しい。

古文・漢文が現代文につながることの認識が不十分であるのが不要論を起こす一つの理由に違いあるまい。さらに古文・漢文には宗教的観念、とくに仏教や儒教の思想を理解する上で欠かせない用語が数多くある。それは現代文とて同じであるが、古文・漢文の世界では、その宗教的意味がより強く意識されていた。

この点を教員が十分認識しているかどうか。因縁、縁起、果報、精進、方便など、仏教の用語は一般的に用いられている。『徒然草』など、仏教の基礎的知識のない教師が説明しても、話の含蓄は伝わりようもない。儒教の五倫は、今日では教えるのが適切と考えない人が多い観念を含む。君臣の義、夫婦の別などがそうだが、実際には、その観念の影響は現代社会のあちこちに及んでいる。

神職や僧侶の資格を持ちながら初等・中等の学校の教員として日本語教育に関わっている人たちは、この点についての認識を深める重要な役割を担っているのではないか。過去の文化を現代でどう扱うか、継承すべきものは何か、克服すべきものは何かを、古文・漢文を通して考える。これはグローバル化時代には重い課題である。

「信教の自由の武器化」 変動する世界の中の宗教(4月23日付)4月25日

公益財団法人国際宗教研究所の『現代宗教2025』は「宗教の自由と政教分離」を特集している。巻頭の座談会(島薗進、駒村圭吾、松本佐保の3氏)のテーマが「現代アメリカからみる…

年少化する自殺 「助けて」と言える社会に(4月18日付)4月23日

2024年の小中高生の自殺者数は、統計のある1980年以降で過去最多の529人となったと厚生労働省が発表した。全体の自殺者数は前年より1517人減の2万320人と減少した…

防災計画と活動の進展 寺と地域との共生から(4月16日付)4月18日

要医療的ケア児の支援など幅広く災害対応活動を展開している大阪市住吉区の浄土宗願生寺で、2町内会合同の防災ワークショップが開かれた。多くの地域住民と区役所や保健センターの担…

教皇葬儀、26日に挙行 各国首脳参列へ 後継者選挙は5月上旬 【教皇死去、日本の宗教界追悼コメント】「いのち守る」力強く訴え 菊地枢機卿/教父といえる存在 前田枢機卿/二つの遺言 中村大司教/遺志を引き継ぐ WCRP事務総長/大きな損失 全日仏/深甚の感謝 天台宗/平和の象徴 創価学会/手の温もり鮮明に 黒住教教主

ニュース4月25日
「宗門再生」掲げ計画 日蓮宗グランドデザイン発表 「布教」「組織」31項目

「宗門再生」掲げ計画 日蓮宗グランドデザイン発表 「布教」「組織」31項目

ニュース4月25日
大川前管長が奥村新管長㊨に日什大正師御染筆の「諷誦章」を親授した

奥村新管長、法燈を承継 教えの道整えたい 顕本法華宗

ニュース4月25日
このエントリーをはてなブックマークに追加