PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
2025宗教文化講座
PR
2025宗教文化講座

人類共有の価値観 国連でも示された道理感覚(3月12日付)

2025年3月14日 10時00分

ロシアのウクライナ軍事侵攻から3年の2月24日、国連総会特別会合が開かれ、ウクライナやEUなどが提出した、戦闘の停止とロシア軍撤退を求める決議案が採決された。日本など93カ国の賛成多数で採択されたが、米・露など18カ国が反対、65カ国が棄権した。

思い起こすのは2023年12月12日の国連総会緊急特別会合である。ガザ地区での即時の人道的停戦や、民間人保護に関する国際法上の義務順守、全ての人質の即時かつ無条件の解放などを求めた、エジプト提出の決議案が採択された。186カ国中、日本を含む153カ国が賛成し、3分の2以上の票を得て採択された。反対は米、イスラエルなど10カ国、棄権は英、独など23カ国だった。

ロシアのウクライナ侵攻とイスラエルのガザ侵攻の双方で、国連総会で米国は少数派であり、ヨーロッパやアジアやアフリカの多くの国々が侵攻側を戒める側に立って賛成し、国の数では反対を大きく上回った。二つの国連総会決議に共通するのは、軍事的に有勢な国(大国やその力に依拠する国)が一方的に軍事力を行使したことに、圧倒的多数の国々が反対している点である。

国連総会の決議はどちらの側に道理があるかを反映している。日米安保条約によって国の安全を維持している日本は、米国の外交や戦争に反対しにくいのだが、それでも米国とは異なる側に投票した。大国や軍事強国が力任せに領土や支配地域の拡充を行おうとしていることに、世界の人々は道理に従って反対しているのである。

このような道理の感覚は、人類社会共有の倫理観や価値観が存在することを示す。国際社会の秩序を支える法は限定的なものにとどまり、国連がそれを辛うじて補おうとするのが現在の人類社会の在り方だ。安全保障理事会が力になるべきだが、大国の利益に引きずられ、役割を果たせていない。

現代の人類社会を支えるのは、国の利益に基づく力の行使だけではない。強い国が自らの利益に基き一方的に軍事侵攻を行い多くの人命を奪い、領土拡張を行うようなことはあってはならない,という道理が一定の力を持っている。国連総会がそれを示しているのだ。

このような人類社会の合意は、宗教も大いに貢献して育てられてきた普遍的な人道的理法を背景に持つ。現代宗教はこうした道理の支配の維持と拡充に関与していくべきであり、実際、平和を志向する宗教者や宗教団体により、そのような方向への努力は続けられ、弱体化しているわけではない。

地下鉄サリンから30年 社会変化踏まえ教訓生かす(3月7日付)3月12日

来る20日で、人々を震撼させた東京地下鉄サリン事件から30年を迎える。これを機に公安調査庁は2月21日に特設ページ「オウム真理教問題デジタルアーカイブ」をインターネット上…

融和の回復へ 「同じ人間」として生きる(3月5日付)3月7日

不法移民の強制送還や関税引き上げを他国との取引カードに使うなどの強硬策を矢継ぎ早に打ち出し、また戦後構築されてきた国際的な合意形成の枠組みを打ち破るかに見えるトランプ米大…

子供たちのガザ ドキュメンタリー映画で(2月28日付)3月5日

映画「ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち」が各地で上映され共感を広げている。パレスチナに繰り返し取材に通う古居みずえ監督のドキュメンタリー作品だ。イスラエルの激し…

上:宮古湾の前で慰霊の光舞が舞われた<br>下:石巻から穴水に向け、オンラインを通して送られた「大丈夫」のメッセージ(右端が金田住職)

【東日本大震災14年】復興へ歩み続ける 青年神職ら玉串捧げ祈り 東北六県神道青年協、岩手で慰霊祭/石巻・穴水つなぎ交流 経験や気付きを共有 カフェデモンク

ニュース3月14日
東日本大震災犠牲者諸霊位と書かれた位牌を前に犠牲者の冥福を祈る福家長吏

【東日本大震災14年】支援と共に伝える努力を 「群青」歌い復興祈る 三井寺

ニュース3月14日
震災や防災に関する学びの成果を披露する児童と吉祥寺の髙橋住職

【東日本大震災14年】「防災寺子屋」の児童ら 記憶受け継ぐ決意 岩手・大槌 吉祥寺

ニュース3月14日