PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
第21回涙骨賞募集 墨跡つき仏像カレンダー2025

未来を失う子どもたち 地球を壊す大人の責任(7月3日付)

2024年7月5日 10時12分

メッカ巡礼者が熱波で多数死亡するなど地球規模の猛暑が気候の危機を告げている。人類の生存が脅かされるのは遠い未来ではないという声さえ聞かれる中、思い起こすのは1992年にリオデジャネイロの地球サミット(国連環境開発会議)で当時12歳の少女セバン・スズキさんが行った「大人のみなさん、どうやって治すのか分からないもの(地球)を壊し続けるのはもうやめてください」と訴えたスピーチだ。世界の大人たちを5分間沈黙させたという伝説のスピーチだった。だが、大人たちは今も地球を壊し続けている。

スズキさんはカナダ在住の日系人で、友人らとつくった「子ども環境協会」代表としてサミットに臨んだ。スピーチは、大人たちへの厳しい言葉にあふれていた。

「私たち子どもが自分の未来を失うことは、あなたがた大人が選挙で負けたり、株で損したりするのとは次元の違う問題なのです」「世界中の飢えに苦しむ子どもたちの泣き叫ぶ声は、あなたがた大人の耳には届きません。行くところがなく、次々と絶滅していく数えきれないほどの生き物たちのことも同じです。だから(略)代わって私たちが話すのです」等々。そして、子どもを愛しているというのが本当なら「言葉ではなく行動で示してください」と結んだ。

曇りのない視点からの批判に、欲が渦巻く大人社会は大いにうろたえる。6年前、当時15歳のスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさんが「気候ストライキ」を始めた時も同様だった。

だが、少女たちの願いもむなしく世界で飢餓に苦しむ人は7億人以上ともいわれ、その多くは子どもだ。飢餓の原因は複雑だが、気候変動が影響していることは間違いない。国際自然保護連合は、人的要因で絶滅危機に陥った野生生物は4万4千種を超えたという。

たとえ無意識でも集団の行為が他者を傷つけたら、構成員は個々にその責任を分有し、解決に努める義務がある。ナチスの暴走を許したドイツ国民を例にとった「責任の社会的つながりモデル」という考え方(岩波現代文庫『正義への責任』)だが、気候危機もそのモデルにピッタリの問題のようだ。

スズキさんのスピーチは「同じ大家族の一員」なのに戦争を起こし、環境問題の深刻さにも、飢餓と飽食という不正義にも鈍感な大人たち一人一人の無責任さに憤り、子どもの未来のために行動を起こすよう求めた点にインパクトがあった。今は、その問い掛けを受け流し、ただ言葉で地球環境を語るだけで済む時代ではない。

国内外で続く反目 来年は希望を感じる1年に(12月20日付)12月24日

神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮は3月5日、神社本庁からの離脱の通知を内容証明郵便で神社本庁に送付した。6月3日、単立宗教法人になるための規則変更が県から認められ、正式に本庁か…

20年後の宗門 「教師3割減」予測の衝撃(12月18日付)12月20日

2025年に「少子高齢化による社会への負荷が大きく高まる」といわれ、第2次世界大戦後に生まれた団塊の世代の全員が75歳に達し、医療や介護へのニーズが急速に高まる後期高齢者…

着床前診断の審査 命の課題に宗教界も発言を(12月13日付)12月18日

重篤な遺伝性疾患があるかどうかを受精卵段階で調べる着床前診断(着床前遺伝学的検査=PGT-M)の実施が増えている。結果次第では“命の選別”にもつながる生命倫理的問題をはら…

本願寺派、池田総局が発足 新しい「領解文」で宗会多数派が批判 厳しい組局人事に

本願寺派、池田総局が発足 新しい「領解文」で宗会多数派が批判 厳しい組局人事に

ニュース12月26日
柴田立史・新門主

新門主に柴田氏就任 信者との交流注力 日光山輪王寺

ニュース12月26日
小雪が舞う中、托鉢寒行 無病息災を願う 三千院門跡

小雪が舞う中、托鉢寒行 無病息災を願う 三千院門跡

ニュース12月26日
このエントリーをはてなブックマークに追加