国内外で続く反目 来年は希望を感じる1年に(12月20日付)
神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮は3月5日、神社本庁からの離脱の通知を内容証明郵便で神社本庁に送付した。6月3日、単立宗教法人になるための規則変更が県から認められ、正式に本庁から離脱した。この背景には神社界における対立がある。2022年に結成された「花菖蒲ノ會」は、現在の神社本庁の姿勢に批判を続けている。
浄土真宗本願寺派で23年1月に出された新しい「領解文」への批判は、24年も収まっていない。当初掲げられていた全寺院100%の推進は、今年2月に各寺院の判断に委ねる方針に変更されたが、議論はその後も続いている。
日本のカトリック教会で日本人7人目の枢機卿が誕生した。教皇フランシスコは10月6日、東京大司教の菊地功氏ら21人を新たに枢機卿に任命することを発表した。
国外に目を転じると、宗教と政治が絡んだ紛争や確執は、中東をはじめ各地で悲惨な事態を引き起こした。23年10月のハマスによるテロに端を発するのがイスラエルによるガザ地区への絶えざる攻撃である。非人道性を批判されながら24年もやむ気配がなかった。
ネタニヤフ首相のもとで、イスラム過激派グループへの攻撃も繰り返されている。7月にはハマス最高幹部ハニヤ氏をテヘランで殺害し、9月にはヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害した。イスラエル政府は国内での情報統制にも神経を尖らせていて、5月にはカタールの衛星放送局「アルジャジーラ」のイスラエル国内での活動の差し止めを決定した。さらにこれまで徴兵を免除されていた超正統派も徴兵対象とする政策に転じた。11月には招集令状を受けたユダヤ教「超正統派」の3千人のうち、徴兵に応じなかった千人余に対する逮捕状が出された。
インドではモディ首相によるヒンズー至上主義肩入れの姿勢が顕著である。同首相は、1月22日に北部ウッタルプラデシュ州のアヨーディヤーにあるムガル帝国期のモスク跡地で行われたヒンズー教寺院の落成式に出席した。ヒンズー至上主義団体を母体とする与党インド人民党(BJP)の肝いりで開催された。
中国では近年の「宗教の中国化」政策が加速化し、1月1日に「愛国主義教育法」が施行された。これは宗教団体にも適用されるもので、特にイスラム教徒に対する統制の姿勢が強まっている。
フランスのノートルダム大聖堂が5年前の火災から再建工事を経て復興し、12月上旬に一般公開された。来年は希望の感じられるニュースが増えることを願いたい。