地裁で解散命令 旧統一教会問題深層解明を(3月28日付)
旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)の宗教法人解散命令請求について、東京地裁は25日、文部科学相から出されていた請求を認める判断を下した。請求は2023年10月だから約17カ月。オウム真理教事件の際は1995年6月末に所轄庁の東京都の青島幸男知事が解散命令請求を行い、最高裁で確定するのが翌96年1月末なので、民事、刑事の事件の相違はあるとはいえ、今回はずいぶん慎重に審議が行われた印象はある。「信教の自由」に関わるのだから、当然だろう。
被害者、支援者、法曹関係者にとっては、解散請求手続き以前に、そもそも問題への行政の本格的な取り組みにずいぶん時間がかかった(かかっている)という思いは強いと思われる。
大学で勧誘された学生が学業放棄し、家族関係も崩壊したとして「親泣かせの原理運動」と報じられたのは67年。70年代後半に高価な壺などを買わせる「霊感商法」が社会問題化した。80年代後半には元信者による「青春を返せ」裁判も始まった。87年には全国霊感商法対策弁護士連絡会が結成され、被害者サイドに立った支援、「カルト」問題啓蒙の活動も徐々に活発になった。
しかし、半世紀近く事態は遅々として進まなかった。なぜか。その理由としては第一に教団が保守政界に深く食い込み、日本の民主主義の脆弱な部分に注目してつくり上げた人脈を利用してきたことを挙げるべきだろう。米議会におけるコリアゲート事件も例として思い浮かぶ。さらに教団の誕生以来の歴史、とくに戦前の植民地支配、戦後の朝鮮戦争にさかのぼる日韓関係を押さえておく必要がある。旧統一教会は単に「カルト」という異物の問題ではなく、戦後日本の歴史の一部分、つまり我々自身の問題でもあるのだ。
旧統一教会と保守系政治家との癒着がまだ解明されていないことを指摘する声がある。どうやら保守政界の構造に根深く関わるだけに、完全な解明は容易ではない。教団側はアメリカで法人解散命令を「宗教の自由」侵害としてアピールしている。旧統一教会系イベントにメッセージを贈ったトランプ大統領には人脈効果を期待しているようにみえる。
教団は多くの人々を不幸にしたことを「信教の自由」で正当化しようとするのか。日本国憲法が保障する「信教の自由」とは何か。「カルト」問題の再発を防ぐために、深く議論することも必要だ。党派を問わず、日本の選良が、宗教に関するしっかりした見識を持つ良い機会にもなろう。