PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
第21回涙骨賞募集 墨跡つき仏像カレンダー2025

人と森林との深いつながり 文化としての林業(9月13日付)

2024年9月19日 09時22分

国連のSDGs活動と連携して1次産業とマッチした持続可能な社会構築を目指す「家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)」の主催で森づくりについてのセミナーが開かれ、「人間と森林との関係」を幅広く深く考察する視座が参加者に共有された。

国土の大部分が山林のこの国では、人は大昔から森や林と様々に関わってきた。しかし、パネリストの佐藤宣子・九州大大学院教授(林業経済学)は現在、学生の多くが紙の原料が木材だと知らず、食べ物を生産する農漁業に比べて「木を伐る林業は環境に良くない」と単純に考えるという驚愕の実態を紹介した。背景には、主に用材生産だけを目的にした企業などによる大規模な商業的林業が大多数を占める現況がある。

山中で機械化して大量伐採をするには、重機だけでも1億円以上の初期投資が必要という事情があり、規模の小さな個人経営は林業全体の1割強しかない。だが、ごく小規模で真にエコロジーな運営を目指す「自伐型林業」という営みも増えており、若者の参入も多いという。短期の収入獲得だけでなく100年単位での森づくりを視野に入れている。

ここには森を単に資源供給場所と見るだけではない、自然のいのちと触れ合う「文化」としての林業がある。建築用材だけでなく、「木地」から作るこまごました木工品、山菜やキノコなど多彩な食材、渓流の魚や森の鳥、動物との関わり、そして皆伐による土砂崩れなどの災害を防ぎ、森林の保水力を維持する取り組みも彼らによって進められているという。

多くの若い消費者が頭も尾もない切り身の魚しか知らないのと同様、スーパーに並ぶシイタケなどキノコのほとんどが工場での生産物という現状に対して佐藤教授は、「木偏」や「草冠」「竹冠」の漢字から人と森林やその植物との関係を思い起こすことを提案する。

確かに、例えば「柿」「菜」「菓」など食べ物にとどまらず、「薪」など浮かぶものは数多い。「筆」や「笛」「笙」はもう、伝統文化そのものである。そこには当然ながら宗教も含まれ、「榊」や「樒」といった字の成り立ちに想像力を刺激される。

そして、例えば京都に昔からある数々の神社などの広大な「鎮守の森」。山から伐り出した薪である護摩木に願い事をしたためて山上で焚き上げる盆の「五山送り火」を想起しても、人々の祈りや願いが古来、森林と密接であったことに思い当たるだろう。

20年後の宗門 「教師3割減」予測の衝撃(12月18日付)12月20日

2025年に「少子高齢化による社会への負荷が大きく高まる」といわれ、第2次世界大戦後に生まれた団塊の世代の全員が75歳に達し、医療や介護へのニーズが急速に高まる後期高齢者…

着床前診断の審査 命の課題に宗教界も発言を(12月13日付)12月18日

重篤な遺伝性疾患があるかどうかを受精卵段階で調べる着床前診断(着床前遺伝学的検査=PGT-M)の実施が増えている。結果次第では“命の選別”にもつながる生命倫理的問題をはら…

「ネットde真実」 正しい情報を発信する責任(12月11日付)12月13日

インターネット上で「ネットde真実」という言葉を目にする。「ネットで真実を知った」という意味だが、実際にはネット情報をうのみにする人たちをやゆし、あるいは冷ややかに笑う意…

【速報】浄土真宗本願寺派 総長に池田行信氏 74票中、白票が52票

ニュース12月20日
日蓮宗長期総合計画提案書 20年後の衰退を防ぐ 現実直視、グランドデザイン公表へ

日蓮宗長期総合計画提案書 20年後の衰退を防ぐ 現実直視、グランドデザイン公表へ

ニュース12月20日
正副議長園城、茶屋氏 本願寺派特別宗会

正副議長園城、茶屋氏 本願寺派特別宗会

ニュース12月20日
このエントリーをはてなブックマークに追加