米からの干渉を期待? 旧統一教会の動きを警戒(4月4日付)
2月6日付の産経新聞は「バンス米副大統領は5日、首都ワシントンで開かれた『国際宗教自由(IRF)サミット』で講演し、『宗教の自由擁護はトランプ政権の重要課題だ』と強調した」と伝えている。トランプ政権は米国のキリスト教右派を重要な支持基盤としている。そのキリスト教右派の人々は、妊娠中絶の禁止や性の多様性について許容的でない方向性を支持し、学校教育についてもキリスト教の教義を尊ぶ教育を行うことを唱え、中国における宗教の自由の抑圧に対して強硬な姿勢を取るなど、外交政策でもその姿勢を打ち出そうとしている。
ここで懸念されることは、米国の現政権が日本の旧統一教会問題について口を挟むようなことがないかということである。2月4、5日に米国で開かれた国際宗教自由(IRF)サミットは、旧統一教会関連団体の天宙平和連合(UPF)やワシントン・タイムズ財団が協賛している。4日のパネルディスカッションでは、旧統一教会の田中富広会長が発言の機会を持ち、「日本政府は超えてはならない一線を超えた」などと文部科学省による解散命令請求を批判したという。
トランプ大統領はホワイトハウスに新たに信仰局を設け、信仰局長にはポーラ・ホワイトという女性が任命されている。ホワイト氏はキリスト教福音派の牧師で、2017年の第1次トランプ政権発足の際に、女性聖職者として初めて就任式で祈祷を行っている。ホワイト氏は、過去に旧統一教会系の行事に参加しメッセージを寄せてもいる。旧統一教会の現在の名称は世界平和統一家庭連合だが、ホワイト氏はこの団体の韓鶴子総裁を「マザームーン」と尊敬の念を込めて呼んだこともある(産経新聞、2月7日報道)。自民党総裁らが自党の政治家に厳にしてはならない、としていることである。
旧統一教会は1980年以前から霊感商法を行うなど、特定の宗教を「信じない自由」を奪う活動を長期にわたって続けてきた。元信者らが起こした信仰の自由侵害回復訴訟でも、2012年に札幌地裁で原告の主張がほぼ認められている。信教の自由を阻害するような活動を続けてきた団体が極めて多数の人権侵害をもたらし、宗教法人の解散命令が下されている。
宗教法人が解散されても宗教活動は継続できる。日本政府が求め、裁判所がそれを認めた法人の解散命令である。外国の政権がそれに口出しするようなことはあってはならないことである。