PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
2025宗教文化講座
PR
2025宗教文化講座

大国の領土的野心 人間の安全保障を今こそ(2月26日付)

2025年2月28日 09時51分

トランプ氏が大統領に再任されて以来、アメリカファーストという言葉が4年ぶりに頭をもたげてきた。これは単にアメリカの国益を第一に優先することにとどまらない。アメリカが超大国なるが故に、他の国々の利益などお構いなしの強引な施策になってしまうのだ。トランプ氏は、他国の領土に関わる問題でもそれを主張するのだから、関係国はたまったものではない。グリーンランドを購入して自国の支配下に置くと発言したり、ガザ地区はアメリカが所有して再建すると提言したり、ウクライナ支援の見返りに同国のレアアースを要求したりと、他国の主権や住民の都合を全く顧みない発言の数々だ。

問題はアメリカだけではない。21世紀に入り、軍事大国が周辺諸国に圧力をかけ、領土的野心をあらわにしている。ウクライナに侵攻し多大な被害を引き起こしたロシアしかり、武力で威嚇しつつ海洋進出を進める中国しかり、これらの強国が国連安全保障理事会の常任理事国で、拒否権を行使できるとは恐れ入る。まるで19世紀の帝国主義の時代に戻ったかのような錯覚すら覚えてしまう。

どの国の住民も自らが生まれ育った土地で、安全で安定した暮らしを送る権利を自然権として有する。この権利は自国の権力によって侵害されてはならず、まして他国の侵略によって奪われるものであってはならない。それを基本的な人権として守っていくのが人間の安全保障という考え方である。どの国の住民もその土地に生きて暮らせることが最も幸せなのである。ごく一部の独裁国家は別として、独立した主権国家はいずれもこの統治原則の下に施策を行っている。どの国も基本、自国ファーストであって何も問題はない。

だが大国の自国ファーストは他国の主権や世界秩序を乱しかねない。宗教者がこれを止めさせるためには、諸宗教が共有する平和と共生の教えに立脚し、一人一人の人間を大切にすることを強調していくべきである。それはまさに人間の安全保障という考え方に他ならない。

宗教者はこの考え方をこそ、軍事大国の政治指導者たちに向けて積極的に主張すべきである。それに当たっては、宗教の持つ普遍的な愛と慈悲の人道的理想を伝えるための理論武装も必要だ。一方でまた、宗教者は国家間や国民同士の敵対心をなくすために、同じく教えによる人道的理想を説いていく役割がある。困難ではあるが、宗教者には人間の安全保障に関して、この“二正面作戦”が求められている。

個人情報保護も緊要 自死対策にきめ細かさを(2月21日付)2月26日

自死対策はボトムアップできめ細かく――。川崎市で以前に開かれたシンポジウム「学び、つながり、つくる 自殺対策基本法20周年に向けて」で、国の総括的な指針はそれぞれ事情の大…

第2次政権の宗教化? どうなる米の「宗教の自由」(2月19日付)2月21日

トランプ大統領は7日、大統領令によってホワイトハウス信仰局(Faith Office)設立を発表した。局長には福音派のテレビ伝道者で「繁栄の神学」の信奉者であるポーラ・ホ…

最期のブッダ 無常の世に永遠の道を説く(2月14日付)2月19日

ブッダの遺徳追慕と報恩のために営まれる涅槃会(2月15日)が近づくと、仏伝に記された臨終の姿が偲ばれる。最後の旅路における出来事は数種類の典籍を基にした経典に伝えられてい…

「5部体制」可決なるか 川中内局、再提案へ 浄土宗定期宗会 3月3日招集

ニュース2月28日
東京都内の僧侶が集まって開かれた宗政懇談会

日蓮宗東京4管区が宗政懇談会 グランドデザインに質問 「内局の一部で作成」指摘 3月4日から定期宗会

ニュース2月28日

宗費改革案の成否焦点 自己申告制へ移行か 3月4日宗会招集 高野山真言宗

ニュース2月28日
このエントリーをはてなブックマークに追加