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「虎に翼」と公共CM 女性の地位固定化を批判(7月26日付)

2024年7月31日 09時34分

社会の様々な領域で「頑張って活躍する女性」、という言い方には両義性がある。一面は字義通りだが、半面では「女性なのに」という暗黙の特別視を背景にした根強い偏見の発露であることがよくある。「頑張っている男性」とはあまり言われないことを想起すれば分かる。

この点で、NHKの連続テレビ小説「虎に翼」では、女性初の家庭裁判所裁判官になった主人公の寅子が、上司の性別を前提とした“激励”にきっぱりと反論して見せる。また離婚調停当事者女性の「あんた、女の味方でしょ?」にも「いいえ。でも男の味方でもなく、(困っている)人々の味方です」と自分の考えを表明する。

女性が「女性として」ではなく一個の人間として自分を実現させていく、「頑張っている女性」という単純な固定観念や、「女性ならでは」という誤った見方を打ち砕くという、その明確なコンセプトで大きな共感を呼んでいる。

同じテレビでは、ACジャパンの公共広告も評価が広がっている。静止画像の漫画で、赤ん坊をあやすせりふだけが字幕で示される。そして次々と場面が変わり、発言者が分からない形で「将来の夢はパイロットです」「子供が熱を出したので有給取らせてください」「我が社の経営方針を発表します」「(ぬいぐるみの色は)ピンクのがいい!」などと言葉が示される。

そして、最後に「聞こえてきたのは、男性の声ですか? 女性の声ですか?」と問い掛ける。せりふから知らず知らずに男か女かを決め付け、その背景に性別による社会的役割、地位の固定化を無意識に受け入れている態度をしっかり指摘する構成だ。

いろんな社会問題を論じる会合や学術的会議、あるいは宗教者が多数参加する集まりでも、出席者に意見を求める際に、「女性の立場からどうですか?」という“振り”がなされることがよくある。「悪気」があったかなかったか、ではない。ジェンダー問題がテーマならともかく、そんなステレオタイプの態度には当該女性が「私は別に女性の代表ではありません」と至極まっとうな反応を示すのも当然だろう。

今や、宗教界を含めて女性の活躍は当たり前だ。いや、別に「活躍」などしなくても自己実現する道が開かれていることが当然だ。特に、あらゆるいのち、性別に関係なく全ての人間は完全に平等であるという観点、そしてその生き方は多様であるというダイバーシティの考えは宗教の根幹に関わる重要なことであろう。

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