子ども食堂を支援する社会活動家 湯浅誠さん(54)
全国こども食堂支援センター・むすびえを2018年に設立し、子ども食堂の普及に努める。子どもが主な対象の無料もしくは低額の食堂だが、様々な人が集まる地域コミュニティーの土壌にもなる子ども食堂を全国に広げる上で、地域に根差してきた寺院という場の可能性に期待を抱く。
甲田貴之
「むすびえ」とはどのような団体ですか。
湯浅 子ども食堂という活動がまだ新しい現象なので、その普及の後押しをしています。それぞれの子ども食堂と上下関係はなく、勝手に応援しているという団体です。子ども食堂の多くが助け合いで運営されていますが、それではカバーできない資金や物資の援助を行っています。一昨年は資金で5億円、物資で5億円相当を現場に送りました。
子ども食堂を開いている寺社を見ることが増えました。
湯浅 2年前の調査では、約5千カ所の子ども食堂のうち、3・2%が宗教法人の運営というデータが出ています。会場として協力しているケースもあるので、実態はもう少し多いでしょう。
お寺には畳の部屋があるなど、子どもたちも大きな家に遊びに来たという感覚でなじみやすい。また地域の人たちの認知や理解を得やすいという強みを持っています。もともとお寺はそういう場でしたから、皆さん自然と受け入れてくれる。
子ども食堂に協力するお寺さんは冗談交じりに「地域の方にお寺の名前を覚えてもらえるようになった」と話してくれました。
子ども食堂に携わるようになったきっかけは。
湯浅 1990年代からホームレス支援に携わってきました。貧困に陥った人の支援をする中で考えていたのは、どうやったら相談しやすくなるか、でした。様々な工夫をしてきましたが一つ一つには効果があっても全体として問題が解決されるわけではなかった。「なぜもっと早く来なかったんですか?」という場面に出くわすことは減らなかった。
子ども食堂と出合って学んだのは、問題を抱えていることを悟られず、誰もが「青信号の顔」をできることが、行きやすさにつながっているということでした。
貧困対策の文脈で語られることが多いですが、多くの子ども食堂は子どもだけでなく、様々な年代の人が経済状況も関係なく集まってきます。実態は「子供会」をイメージしてもらうとよいかもしれません。子ども食堂というのは地域コミュニティーの土壌づくりの活動なんです。それが結果的に貧困対策にもなっている。
自治会…
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