一般への教化に力注ぐ
西山浄土宗 柴田康仁宗務総長(67)
西山浄土宗宗務総長に10月1日に就任した。総本山光明寺(京都府長岡京市)執事長を兼ねる。東部第1宗務支所長、土江前内局で教学部長を務めた。常蓮寺(愛知県東海市)住職。前内局の路線を踏襲しつつ、教化活動に注力する考えだ。
同県西尾市の浄土宗西山深草派清海寺の三男として生まれた。仏門に入ることは意識していなかったが「長男と同じく名前に『仁』が付く。親は私が僧侶になることを考えていたのかもしれない」と振り返る。
勉学に励む中でカビや細菌に興味を持ち、名城大農学部に入学して応用微生物学を研究した。大学を卒業した当時は就職難だったのもあり、親の提案を受けて僧侶になることを決意。京都西山短期大に入学し、西山深草派総本山誓願寺(京都市中京区)で随身した。義父は西山浄土宗宗務総長を務めた柴田康英氏で、1985年の結婚を機に常蓮寺に入った。
康英氏を「アクティブな人で、東京別院を開創するなど常に何かに挑戦していた。人を引き込むのが上手だった」と回想する。
幼い頃から自然をこよなく愛し、天体望遠鏡をよくのぞいた。アルバイトでウナギの養殖をしたこともあるという。法務の合間に境内を散策し、趣味のカメラで野鳥や花、天体などを撮影する。
宗派の教えを一般の人にも広めたいと考えている。「西山浄土宗の教えでは念仏を称えなくても救われる。すでに救いの中にいることに気付いてもらうのが我々の役割。お念仏は『ありがとう』という感謝の気持ちであり、歓喜の念仏だ」とほほ笑む。
(椎葉太貴)