特色出し社会に存在感
立正大学学園 生駒雅幸理事長(65)
9学部1万人の学生が学ぶ立正大や付属中高を運営する立正大学学園の理事長に就任して3カ月。毎日出勤し大学の現状や課題を学び、分厚い学園規則集にも目を通す日々だ。私立大を取り巻く厳しい環境に打ち勝つため「より強く大学の特色を出し社会に存在感を示していく」と意欲を見せる。
「ずっとお寺の世界で仕事をしてきたので大学は新鮮。学生さんを見ているだけで希望を感じる」という。日蓮宗大本山池上本門寺(東京都大田区)の塔頭・安立院の生まれ。明治大文学部、立正大仏教学部を卒業後、宗務院に奉職した。
約20年勤務し庶務課長や教育課長を歴任。宗会議員当選後は総務局長も務め、宗門運営に携わった。学校法人は初めてだが「どちらも公益法人。お寺では檀信徒、大学では学生を中心に考えていて、営利でなく人のためという点は同じ」。
大学は18歳人口の減少、寺院は過疎や寺離れという難局に直面している。「少子高齢化が進む中、特色をもっと打ち出していく必要がある。そのためのブランディング戦略を練らねば」。2031年に日蓮聖人750遠忌、翌32年に開校160周年を迎える。宗門と大学で協力し、一般社会に向けた事業ができればと考えている。
卒論指導を受けた故浅井圓道教授には就職後も度々教えられた。「忙し過ぎると先生に話したら『お祖師様がそうするようにとおっしゃっている』と諭されたことがある。理事長職もお祖師様のおぼしめしと受け止め精いっぱい努めたい」。教職員や学生と誠実に向き合うことで師恩に報いていく。
(有吉英治)