意見出し合える宗門に
浄土真宗本願寺派 荻野昭裕総長(68)
3月8日に浄土真宗本願寺派総長に就任した。新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)を巡る問題や賦課基準の見直しなど多くの課題を抱える中で「現場と密に連携し、一つ一つ対応していきたい」と話す。
自坊は和歌山県海南市の浄國寺で、念仏を広めるための本願寺直属寺院「黒江御坊」として始まった。御坊組織は廃止されたが、門信徒らの願いで寺は残り、浄國寺として新たに歩み始め、荻野総長で5代目になる。
先代から50年以上ボーイスカウト活動を続け、自身も本願寺派スカウト指導者会の会長を務めた。活動を通して地域の子どもたちが寺に集い学び、仏教に触れる機会にもなっている。
和歌山教区の教区会議長を歴任し、2008年に宗会議員となった。地元教区などから賦課基準に対する不公平感の声を聞き、見直すべき多くの課題があることを実感。本願寺派の多岐にわたる事業や取り組みを宗門内の理解を得ながら進める難しさにも直面したという。
今後について「まずは新しい『領解文』の混乱を鎮め正常化し、ご消息の重みを知らせていく。冷静に話し合えれば分かり合えると思っている。勧学寮も動きだしており、総局も共動して対応していく」と話す。賦課基準の見直しに関しては早急に総局案を仕上げ、公聴会での意見聴取や教務所長・教務所職員を通して周知を行っていく考えだ。
「気付かない間に現場とずれが生じてしまっている。現場の声を聞き、双方が意見を出し合いながら進めるような宗門にしたい」
(渡部梨里)