寺院物資を施設に提供 防災啓発イベント企画
岐阜市 浄土真宗本願寺派岐阜教区・IBE会 岩間尚子代表
浄土真宗本願寺派岐阜教区の坊守・寺族女性ら有志によるIBE(アイビー)会は2020年、当時岐阜教区寺族女性連盟の委員長を務めていた光顔寺坊守の岩間尚子氏を中心に結成された。教区内の寺院から集めた物資を必要とする場所へ届ける活動や、防災に関する活動を行っている。
寺族女性連盟の研修会で「寺院における防災」を学んだことをきっかけに、さらに学びを深めようと岩間代表らは「防災を学ぶ会」を結成した。日頃からできる防災対策として、使った分を買い足して一定量の食料品などを備蓄しておくローリングストックを知ったが、寺院で仏事の際などにもらうものには賞味(費)期限が短いものもあり、もっとうまく回せないかと考えるようになったという。無駄なく活用するために、寺院の物資を集めて子ども食堂などへ提供を始めた。
寺院として減災に努め、また日常の中での実践運動として食料支援に取り組むことを目的に、10人ほどのメンバーで新たにIBE会を立ち上げ活動を本格化させた。会の名前はメンバーが好きな観葉植物のアイビーに、単語をつなぐbe動詞の意味合いを含めたものだ。
教区内の寺院に物資の提供を呼び掛けるチラシを配布し、集まった物資は本願寺岐阜別院で保管。同別院が行う「別院食堂」をはじめ、市から紹介のあった母子生活支援施設、地元の子ども食堂などへ物資を提供する。提供先からは「物価高が続き生活に困っている人も多く、とても助かっている」と喜ばれている。
徐々に支援の輪が広がってはいるが、コロナ禍以降仏事の形式が変わった影響などで、寺院が提供できる物資も減っている。岩間代表は「少しでもいいので協力してもらえるよう、もっと積極的に広報していく必要がある」と話す。
昨年メンバーの3人が防災士の資格を取り、特に震災時に避難所となり得る寺院の関係者に防災意識を高めてもらおうと、3月と6月に防災イベントを開いた。防災意識レベルの確認や少人数でのグループワークをはじめ、非常時に使える防災ポーチを作ったり非常食を調理して食べたりして、実践的な内容も盛り込んだ。
今後について岩間代表は「食料支援と防災活動を両輪に進めていきたい。より多くの人々に支援いただけるよう、働き掛けていく」と語った。
(渡部梨里)