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根強い現金主義

〈コラム〉風鐸2024年8月7日 11時46分

京都市内のあるスーパーで、夕飯の支度のために30分かけて食材を選び、レジに並んだ。店員に「現金しか使えません」と言われてがくぜんとした。結局全て返品せざるを得なかった◆京都仏教会が数年前に宗教行為にキャッシュレス化は不適切として声明を出したことがある。拝観料も当然ながら現金で、とにかく京都では旅行者も生活者も現金が必要となる◆キャッシュレス化は進みつつあるものの、現金主義は京都の文化とさえ受け止められる。先の例だけでなく、飲食店の入り口に「電子決済の機械が故障のため、現在、現金しか使用できません」との張り紙を見掛けたのは1度や2度ではない。元から機械を導入していないに違いないと疑う。不動産売買も現金だと聞くから驚きだ◆実は京都だけでなく日本は他の先進国に比べてキャッシュレス化が遅れているという。最大の理由が治安の良さのようだ。海外では現金を持ち歩くことは危険だし、偽札の横行、現金移送の問題など、キャッシュレスにメリットが大きい◆日本では常に紙幣や貨幣が刷新され、現金への強い信頼がある。キャッシュレスを進める必要に迫られていないのだ。さらに歴史や伝統、文化を大切にする京都ならば「歴史ある」現金を軽視するはずがない。そうプラスに捉え、しばらくは紙幣を握り締めて買い物に出掛けるとしよう。(赤坂史人)

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