伝統継承、覚悟決め
天王寺楽所雅亮会 小野真龍理事長(58)
天王寺楽所雅亮会は和宗総本山四天王寺の「聖霊会」における奏楽・奉舞を担ってきた。1月からは新たに一般社団法人雅亮会となり、その理事長として雅楽の伝統を守り継ぐ。
小野妹子の八男を開基とする浄土真宗本願寺派願泉寺(大阪市浪速区)に生まれた。曽祖父の小野樟蔭が四天王寺における聖徳太子の年忌法要・聖霊会で奏楽・奏舞される天王寺舞楽を伝承する団体「雅亮会」(現天王寺楽所雅亮会)を立ち上げて以来、祖父、父も雅亮会で雅楽の伝統を守ってきた。小学1年から中学1年まで聖霊会で童舞の舞人を務めた。
寺を継ぐことは雅楽を継ぐということでもある。雅亮会の歴史を鑑みれば辞めることはできない。覚悟を固め、大学の法学部を卒業後、宗教を学ぶために改めて大学に入るとともに、本格的に雅楽を始めた。
芸名は天王寺楽所雅亮会から変わらないが、一般社団法人という組織化によって、天王寺楽所の伝統を守るという目的がこれまで以上に明確になると言う。
「組織を維持するだけなら難しいことではないのかもしれない。しかし、高い演奏の質を保つことが歴史の中で独自性を認められた天王寺楽所の雅楽の伝統を本当に守ることになる」と語る。
昨年9月に雅楽協会の代表理事に就任した。宮内庁式部職楽部をはじめ、様々な伝統を持つ雅楽団体の関係者がまとまったこれまでにない団体で「このような形で雅楽のネットワークができるのは画期的なこと。連携しながら事業を着実に丁寧に進めていきたい」と話している。
(甲田貴之)