両堂の意味を大切に
浄土真宗本願寺派 池田行信総長(70)
5月31日に浄土真宗本願寺派総長に就任した。社会状況の変化に伴う影響や宗門の多くの課題が目立ってきた中で「つまずきの石は、踏み石にもなる。ポジティブに転換していける道を探っていきたい」と話す。
栃木県那珂川町にある慈願寺の住職で、「関東で浄土真宗はまだまだ浸透していない」と本山本願寺がある京都との感覚の違いを語った。
その上で仏教としての浄土真宗という視点に立ち、そこから浄土真宗を理解してもらう必要性を述べ「本山本願寺には御影堂と阿弥陀堂の両堂があり、御影堂は祖師信仰、阿弥陀堂は人類の課題に立つ普遍宗教を意味している。どちらも大切にするのが浄土真宗」と話す。
「両堂をトータルに見る教団(サンガ)論が十分でなく、両堂の意味の理解が進んでいない。そのため、宗本区分が十分に生かされているとは言えず、組織体系一つとってもまだ整理が行き届いていない」と宗門の課題を挙げる。
大きな課題である新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)について「私自身は(新しい『領解文』が)素晴らしいと思うが、いろいろな声が上がっていることは聞こえている。従来の領解文にも課題はあり、それを踏まえた議論が求められているのではないか」と話し「難しいことではあるが、現場のことにも配慮しながらご門主さまの消息のこころを具体化していく。祖師信仰と普遍宗教をバランス良く保つことで、人間の幸せや社会の問題にも目を向けて取り組んでいきたい」と抱負を語った。
(渡部梨里)