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總持寺中興石川禅師の遺徳を偲ぶ③ ―100回御遠忌に寄せて―(1/2ページ)

曹洞宗清凉寺東堂 桂川道雄氏

2019年10月23日
かつらがわ・みちお氏=1950年生まれ。駒澤大大学院修了後、曹洞宗大本山總持寺で修行。近畿管区布教師を10年、曹洞宗特派布教師を14年間務める。2011年、總持寺布教部長。半年後、白血病を患い辞任。青龍寺住職、清凉寺兼務住職。17年に退董し東堂に。著書に『ガン患者のための般若心経』など。

名簿に見る禅師の弟子たち

石川素童禅師の法孫の集いを「大圓会」と称します。手元に1931(昭和6)年、48(同23)年、52(同27)年、69(同44)年、84(同59)年発行の大圓会の名簿があります。31(同6)年の名簿は、禅師遷化後11年目に作成されています。わら半紙にガリ版刷りの粗末なもので「傳灯抄」と記されていて、大圓会の名称は見当たりません。「大圓会」と名簿に記されているのは48(同23)年以降ですが、48年の名簿の編集後記に「昭和17年に大圓会の名簿を作成以来6年が経過した」と書かれてあります。

31(同6)年の名簿は禅師13回忌の法要に役立てるためにまとめたもので、42(同17)年版の名簿は、禅師23回忌の法要に必要だったと思われます。ご本山で禅師の年回供養が勤められますが、最初のうちは顔なじみの弟子や孫弟子が集まっています。その後、直弟子はそれぞれの弟子を育てられ、法孫が増加しています。ご本山の年忌で集い初見の人もいますので、名簿の必要があったと思われます。31(同6)年版の名簿は直弟子7人、孫弟子31人。合計38人の名が記されてあります。48(同23)年版には105人、52(同27)年版は110人、69(同44)年版は133人、84(同59)年版は118人、2019(令和元)年版は110人の名が記されています。大圓会を称する頃から、禅師の兄弟弟子、大賢喆定の法系が大圓会に加わっています。

禅師の直弟子(第一世代)は、稲寸篤恭(滋賀県彦根市・清凉寺)、三川啓明(京都府舞鶴市・桂林寺)、大野圍山(愛知県瀬戸市・寶泉寺)、山田奕鳳(埼玉県川越市・養寿院)、渡辺辯宗(滋賀県彦根市・長松院)、小出穆宗(滋賀県東近江市・地福寺)、石川素禅(茨城県稲敷市・管天寺)の7人です。總持寺の「鶴見ヶ丘」(1974年発行)には、大石明道、斉藤主の名がありますが、詳細は不明です。

長兄の稲寸篤恭(04年宗議会議員)は、石川禅師の直弟子、渡辺辯宗、小出穆宗を近くに置き、井伊家菩提寺清凉寺を護持し、晩年總持寺の西堂職を務めました。当時の西堂職は現在の副貫首に相当します。三川啓明は、桂林寺を拠点として多くの末寺をまとめ、僧堂教育に尽力。門下から多くの師家を輩出しています。

大野圍山(34年特選宗議会議員)、山田奕鳳(18年宗議会議員・本庁教学部長)、石川素禅は石川禅師の侍局員として活躍。草創期の鶴見・總持寺を支えました。山田奕鳳は『大圓玄致禅師行実』を執筆しています。

全法孫が宗門の発展と寺門の興隆に尽力しているのは当然ですが、直弟子系系譜に、「鶴見ヶ丘」『曹洞宗百年のあゆみ』(横関了胤編著)を参考に法孫の動静をまとめてみました。

稲寸系では、第二世代は、村瀬篤信(宗務所長)、山岸興運(總持寺典座)、第三世代は桂川弘道(宗務所長)、村瀬信行(宗務所長・宗議会議員)、第四世代の桂川道雄(特派布教師・總持寺布教部長)。

三川系では、第二世代の鷲見透玄(總持寺単頭・北米開教総監・祖院監院)、第三世代の鷲見弘明(名古屋日泰寺事務長)、近藤真介(祖院単頭)、長谷川文丈(總持寺単頭・後堂・祖院監院)、第四世代の能登春夫(宗務所長)。

大野系では、第二世代の江川太禅(宗議会議員・總持寺布教師・監院)、第三世代の江川辰三(總持寺監院・祖院監院・副貫首・貫首)、第四世代の江川辰弘(宗務所長)、貝野元丈(江川禅師侍者)。

山田系は、第二世代の金剛秀一(宗議会議員・本庁財務、庶務部長・参議・總持寺副監院・宗務総長・副貫首)、第三世代の坪川玄獅(總持寺典座)、南敬爾(宗議会議員)、堀部明宏(板橋禅師侍局)、第四世代は坪川民主(總持寺典座)。

石川系は、第二世代に石川大玄(岩本禅師侍者・侍局長)、第三世代の石川光学(特派布教師)。時間の経過とともに法孫は、第二世代(孫弟子)、第三世代、第四世代へと広がりを見せます。現在は第五世代が活躍を始めています。

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