後継者養成の課題
曹洞宗は先頃公表した「曹洞宗 2045年予測」で具体的なデータによって近未来の衝撃的な展望を示し、日蓮宗も最近「長期総合計画提案書」で数値にこだわって宗勢の20年後の最低予測数値と努力目標を示した。仏教界が現在置かれている厳しい現実を再認識させるものだ◆特に若手僧侶の減少は象徴的だ。曹洞宗では教師資格を持つ20、30代の若手は直近20年で約32%減少したという。この傾向から20年後を予測すると、若手僧侶は現在と比べさらに約73%減少し、宗門の高齢化が顕著になる◆日蓮宗の予測では現在の宗門寺院5119が最悪の推測では3500にまで減少、檀信徒数は半減する可能性もあるという◆これらは単なる予測ではなく、有効な対策を立てるための判断材料である。日蓮宗が20年後へ向けた「努力目標」として示す数値も現状より縮小しているが、それは社会の変化を踏まえてなるべく客観的に分析したものであろう◆数的把握とともに、問われるべきは「質」である。社会的に必要とされない存在はおのずと消えてゆくが、世襲によって世代の継承を補強して数を維持してきた側面はある。だが宗教的な価値の担い手を育て、その活動の拠点として寺院を護ることは「数」とはまた別の問題である。宗門にとって法器の養成がやはり未来構想の第一義的な課題になるはずだ。(津村恵史)