ルポ アフリカに進出する日本の新宗教 増補新版…上野庸平著
著者は2011年から14年まで西アフリカのブルキナファソに滞在。周辺国も含め、見聞した日本など発祥の新宗教のルポを2016年に著し、今回文庫化した。ラエリアン・ムーブメント、幸福の科学、真如苑、崇教真光、旧統一教会、創価学会の6章構成で、天理教や日蓮正宗、文庫版の新章もある。
統一教会については同国で活動する日本人女性や現地信者の来歴、よさこい節を通した伝道の様子などを取材。日本のような高額献金の要求はなく、一見、多くのプロテスタントの礼拝と変わらないとする。この章は、安倍元首相殺害事件前の同教団への認識を示す一例として興味深い。霊感商法などへの批判に触れつつ個々の人間関係に基づく親近感もにじみ出る。追補では宗教学的分析や、日本の本部・元宣教師への取材を加筆する。
同国では崇教真光も盛んだが、手かざしや「おみたま」と呼ばれる首飾りが「霊的にパワーがありそうなものはとりあえずやっておく」気質に合致したのだろうとする。
創価学会取材の時に、著者が同国で活動する真如苑のことに触れたところ、現地信者は「同じ仏教の仲間」がいるのかと素直に関心を示した。日本ではあり得ないだろう反応に「いつから日本人は宗教を異質な目で見るようになったのだろうか」とつづっている。
定価990円、筑摩書房(電話03・5687・2601)刊。