佛心奉造 大佛師今村九十九作品集…今村九十九著
真言律宗総本山西大寺から大佛師号を拝受した今村九十九氏(京都市左京区)が、仏師生活60年を目前に集大成として刊行した作品集。「表現や制作技法が、後進の造仏活動の一助となるように」と、主だった作品を網羅してカラー写真で掲載する。
今村氏は本書刊行以前から制作工程も含めて写真を撮影し、仏像制作の記録を残し続けてきた。過去の出版物に『四天王顕現』があり、この書では同宗別格本山蓮華院誕生寺南大門の四天王像の制作を記録して「賽割法」と呼ばれる大型仏像の制作技法を伝えた。『佛心奉造』では「佛の心を形に表す」との思いで造仏に取り組む今村氏の活動全般を紹介する。
15歳の時に京都で仏師修業を始めた今村氏は、自身の仏師人生を「修業期」、独立後に様々な表現を試みた「模索期」、そして多くの寺院に納めるようになった「円熟期」に分けられると振り返る。作品集には円熟期はもちろん、模索期の作品も紹介。巻末に資料として自身の歩みを年表で記した「年譜」を収載する。「仏師も人間ですから、いろいろな面があります。作品や資料などから、一生懸命さや苦心して表現してきたという、私の生きざまを見てほしい」と話している。256㌻、貼箱入り。
定価1万9800円、大垣書店(電話075・468・1800)刊。