悩み相談できる宗門を
天台真盛宗 市川隆成宗務総長(71)
天台真盛宗宗務総長に9日、就任した。宗門改革に意欲を示し「スマホなどSNSを使って若い人が僧侶に悩みを相談できるような仕組みをつくると共に、男僧・尼僧で僧階が異なる宗規を改めていきたい」と訴える。
同志社大を卒業後、実家の西念寺(三重県伊賀市島ケ原)で1985年から30年以上にわたり住職を務めつつ地元の教育委員会で社会教育を担当し、伊賀市の消防団長として1500人の団員を率いた。「住職として地域の隅々まで知っていた」と話す。火事はもちろん台風襲来時には泊まり込みで出動し、率先して働いた。藍綬褒章や瑞宝単光章を受章し、団も総理大臣表彰を受けた。
宗議会議長などを歴任後の2019年、別格本山引接寺(福井県越前市)山主として晋山。「戦国乱世に宗祖真盛上人(1443~95)は『我が身を律してお念仏の道を進もう』と諭された。蓮如上人と同時代に生き、浄土真宗の門徒が多い福井の地で500年以上、真盛上人の教えが生き続けている」と強調する。
悔やまれるのはコロナ禍を受けて、檀信徒に参拝自粛を呼び掛けたことだ。「宗教者としてやってはいけないことをした」との思いが消えず、離れた場所からスマホなどで僧侶に相談できる仕組みづくりを引接寺で計画している。宗門全体にも広げたい考えだ。
「10分、15分でも真盛上人がお勧めになったお念仏の心持ちを勤めていきたい」とした上で、総本山西教寺(大津市)執事長としても「『風鈴参道通り抜け』など様々な企画で、親しみやすい西教寺を目指し、観光にも力を入れる」と話す。
(須藤久貴)