PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
第21回涙骨賞募集 墨跡つき仏像カレンダー2025

《新年座談会②》コロナ後、社会・宗教どう変わる?― グローバリズムの果てに危機(2/2ページ)

 安藤礼二氏

 中島岳志氏

 釈徹宗氏

2022年1月8日 09時15分

長い時間の中で生きているとちょっとしたでこぼこは気にならず引き受けられますが、萎縮した時間の中ではニキビのようなわずかなでこぼこも辛抱できなかったり、イライラしたりする。縮んでいる時間をいかに延ばすのかが現代人のテーマとしてあると思います。

中島さんのご家族のお話は、コロナで日常のリアリティーが増したということだと思いますが、私がコロナで思ったのは、今までは随分日常が枯れていたんだなあということです。かつて家族で外食するだけでも「ハレ」の日だった時代がありました。今や家族で外食する日がハレの日という感覚はすっかりなくなり、ハレが常態化して「ケ」がすごく痩せている。我々の日常とか「ハレとケ」の問題がコロナで浮かび上がったと感じています。

安藤 あと中島さんがおっしゃった効率性とか有効性の問題ですね。これにとらわれると、それ以外のものは価値がないと切り捨てられてしまいますが、そんなことはない。柳田や折口が注目したのは祝祭です。祝祭はハレなのですが、毎日やるわけではなく1年に1回、時間を決めてやるから祝祭なのです。そこでは効率性や有効性とは逆の原理が働きます。

コロナで大変な目に遭われた方も多いのですが、コロナで我々人間がそもそもどういう生活をしていたのか、立ち止まって振り返ることができたような気がします。我々は「ハレとケ」「日常と祝祭」の時空間を本当にバランスよく生きてきました。その中で有効性や効率性は、考慮されつつもかなり抑制されていた。そうでないと身近な人とのコミュニケーションはうまくいきません。

芸術作品の制作には効率性や有効性とは全く逆の時間が必要です。「無駄」というレッテルを貼るのが近代の病ですが、何事にでも使えるような時間・空間の余裕、コミュニケーションの余裕が必要だと思います。

いま目の前で利益は生まなくても、非常に長い時間の後にそれがなければ未来の人たちが利益を受けられないものがある。スピードや効率性、有効性がいったん遮断された経験は必ず未来に生かせると思います。今まで近代を推し進めてきたものとは違う生き方を近代の中からもう一度再構築していく。全世界の人たちがコロナで平等に痛みを感じられたという意味では、一つの生き方の指針になってくるのかなと考えました。(つづく)

《部派仏教研究の現状と展開④》近現代の倶舎学概観 梶哲也氏10月17日

古代インド仏教において、上座部でもっとも有力な学派だったのが説一切有部である。そして、その代表的な文献である世親の『阿毘達磨倶舎論』は、奈良時代に初めて日本に伝来して以降…

《部派仏教研究の現状と展開③》日本における倶舎学 一色大悟氏10月10日

「倶舎学」とは、『阿毘達磨倶舎論(アビダルマ・コーシャ)』と関連文献の研究を通して築かれた、知の総体を指す語である。その核となる『倶舎論』は、紀元後5世紀ごろのガンダーラ…

《部派仏教研究の現状と展開②》実在論と空のはざまで 横山剛氏10月3日

筆者はインド仏教において大きな勢力を誇った説一切有部(以下、有部と略)の教理研究を専門とする。有部の広範で緻密な教理を研究の対象とするのはもちろんであるが、筆者の関心の中…

平和賞受賞の意義 核使用の「タブー」を護る(10月16日付)

社説10月18日

“かかりつけ葬儀社” 人生のステージに支え(10月11日付)

社説10月16日

宗教の価値見直し 地域社会での役割問う(10月9日付)

社説10月11日
このエントリーをはてなブックマークに追加