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忘れられたハワイ・ホノウリウリ監禁所(2/2ページ)

ハワイ日蓮宗別院主任(住職) 平井智親氏

2018年5月9日

2017年7月9日、当別院の盂蘭盆施餓鬼法要において塔婆供養をし、実際に太鼓を用いた。法要中、お題目をお唱えする時にお寺の理事長(筆頭総代)にたたいてもらった。古い太鼓なのでいつものように元気よくというわけにはいかず、優しくたたいてもらった。柔らかな太鼓の音が本堂に響き、胸が一杯になった。ホノウリウリ収容所で大変な苦労をされた方々の霊がきっと集まって聞き耳を立て、供養を受けてくれたものと思う。

ホノウリウリ収容所跡での法要には、いくつもの困難が重なった。国史跡に認定されたため国定公園管理局の管轄となっているが、実際は巨大な企業の所有する敷地の一部で、勝手に出入りできる状況にない。事前に参加予定者の名簿を土地所有企業に提出し許可を得る必要がある。法要は窓口となっているハワイ日本文化センターの尽力で実現したが、多くの人に参列してもらうことは不可能だった。70年前に使われていた道は自然に戻っており使えない。現在の道も悪路でとても狭く大型バスが入れない。定員20人程度のバンでしか入ることができず、人数制限をせざるを得なかった。

「地獄谷」からは、青くどこまでも広い空は一部分しか見えない。青く輝く海は、全く見えない。ハワイが誇る最も美しいものが極端に制限された場所に連れて来られた時の絶望感は、私の想像の及ぶものではないと思う。この地に抑留された方々がどのような気持ちで過ごされていたのかを考えると、胸がつぶれる思いであった。

監禁され、不自由な生活を強いられ、絶望的将来しか見えない人たちが、どうしてそこまで亡くなった家族のことを思い、祈りを捧げられたのだろうか。宗祖日蓮聖人はその御遺文の中で、頭も手も足も全て親からもらったものであると教えられている。だから、親のために祈ることは自分を祈ることでもある。ホノウリウリ収容所の人々がそう理解していたのか私には分からないが、お盆法要を行うことで亡くなった家族だけでなく、そこに集まった人々も慰められたことは疑いようがない。

お盆法要は当時と同じ8月15日に行われた。とても素晴らしいものとなった。当時の施設は残骸が散見されるだけとなっていて、広場のようになっていた倉庫跡に簡単な祭壇を設えた。祭壇の脇には、ハワイ日本文化センターに依頼して抑留者全員の名前が掲載されているパネルを立ててもらった。73年前にお盆法要を執り行われた方の孫、駒形宗彦先生に導師を依頼し、曽孫の駒形宗二先生が式衆として補佐した。ハワイ仏教連盟各宗派総長各聖や在ホノルル日本国総領事館の三澤康総領事などにもご臨席頂いた。

優しく響く太鼓の音を聞きながら、当時はどのような音だったのだろう、どのようなリズムだったのだろう、どのような気持ちで法要をされていたのだろうと考えた。分からないことだらけであったが、一つだけ言えるとすれば、当時のご苦労のおかげで、現代に孫、曽孫だけでなく多くの日系人日本人が平和で幸せな暮らしをしているということである。そのような方々に追悼と感謝の念を捧げるのは、人として当然のことと思う。追悼と感謝の念を捧げること、今の人たちに過去何があったのかを教え、未来の人たちのために、同じ過ちを絶対に繰り返してはならないことを戒めとして残すために、法要を行う必要があった。

1943年に開設されたホノウリウリ収容所は今年、開設75周年となる。大きな犠牲を払って得た大切な教訓をアメリカは忘れてはいけないと考える。特定の宗教を信仰したり特定の条件を備えた人たちが、入国制限などで現在差別の対象になってきている。善良な市民までもが故なき制限を加えられるという意味において、過去の間違いが再び繰り返されようとしているように思える。過去に対する反省、現在に対する周知、未来に対する警告として、ホノウリウリは史跡に指定された2015年よりもさらに重大な意味を持つようになってきているといえるかもしれない。

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