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弟子丸泰仙老師ヨーロッパ布教50年に寄せて(1/2ページ)

曹洞宗大乘寺山主 東隆眞氏

2017年3月31日
あずま・りゅうしん氏=1935年、京都府生まれ。曹洞宗大本山總持寺専門僧堂掛錫。駒澤大大学院人文科学研究科仏教学専攻修士課程修了。元駒沢女子大学長。文学博士。大乘寺専門僧堂堂長、師家。著書に『道元小事典』『太祖瑩山禅師』『曹洞宗』『日本の仏教とイスラーム』『禅と女性たち』など。

弟子丸泰仙老師は1982(昭和57)年4月30日午前5時23分、横浜市立市民病院で、急性腎不全(尿毒症ともいう)のため遷化した。享年67歳。私はその前夜遅く、東京大教授の森本和夫氏と老師を病床にお見舞いしたばかりであった。「中外日報」(同年5月5日号)は、関連記事に1ページを割いて報じている。

今年5月には、老師がヨーロッパに布教して50年を記念する行事が行われるとのことで、私のもとにも曹洞宗宗務庁(教化部国際課)から案内状が届いている。私は健康上の問題がない限り、出席する予定。いま、日本で生前の老師と直接に交流した現存の宗侶は、山形県・善宝寺住職の五十嵐卓三老師など、十指に満たないであろう。

弟子丸老師応援団長を自認

私は、当時、未見の弟子丸老師の動向に注目した。80(昭和55)年ごろ、率直な感想を、当時の「中外日報」に投じた。

老師は、それを『日本人に“喝”』(徳間書店)、『セルフ・コントロールと禅』(池見酉次郎氏と共著。NHKブックス)に取り上げ、この2書の贈呈を受けた。

それ以来、老師は私に手紙や著書をたびたび寄こされ、そして、お会いすることとなった。81(昭和56)年6月29日、東京・南麻布の臨済宗妙心寺派の光林寺に拝登し、外出中の老師と待ち合わせて、初相見の礼を執った。また、パリで参禅した森本和夫氏は帰国後、老師から私に会いなさいという憶え書きの名刺を差し出された。

老師は何度か帰国し、そのたびに連絡を受けて、お会いした。そして、信者の水上賀映子さんや伊藤維朗氏とともに、老師の帰国歓迎会を催し、講演会を行い、機関紙を発行し、毎週土曜日の参禅会を開き、あるいは献金した。私は、自称弟子丸泰仙老師応援団長を以て任じていたのである。

近しい人たちからの非難

というのも老師は、ある宗門の要路にある人々から、けなされ、苛められていると感じ取ったからである。けだし誰でも、欠点や失敗はあるだろう。が、直接、老師の状況を聞いた私は、持ち前の感情が爆発して、義憤と化し、時にはその場で、失礼ながら、宗務庁の教化部長に直接電話して、実情を報告し、さいわい聞き入れられたということもあった。

ひとり異国にあって、血の出るような命懸けの苦労をして、前代未聞の実績をもたらしている大活躍の老師に対して、近しいはずの人ほど悪口を繰り返し、足をひっぱり、蹴とばすばかり。足りないところを補い、誤りを正し、後押しをすることがなかったのである。

しかし、老師は微動だにしなかった。老師は言う。「私にとって、過去十何年間、ヨーロッパ開教中、いくたの困難、苦境にさらされ、敵もできた。(中略)ヨーロッパの方からでなく、日本から、それも身内から、それこそ宗門の坊さんがいちばんヤキモチをやく」と。

こうした日本曹洞宗のある一群の学者たち、老師たちに対して、寸毫の期待も持つことをしなくなったのである。いまさら言うまでもなく、老師の側近の方々は、よくその辺の実情をご存知であろう。

私が2013(平成25)年、「世界禅センター」を立ち上げて、微力ながらつとめているのは、同学の黒田武志老師、その実兄の前角博雄老師の実績を承知しているからにほかならないが、いま弟子丸老師の影響、迫力も感じないわけにはいかないのである。

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