たすけ合いの展開~支援から支縁へ~ 新たな絆・ご縁に期待(2/2ページ)
天理教磐城平大教会長、天理教福島教区長 平澤勇一氏
福島県内はもとより、県外からも教会単位で、また教区や支部単位で、そしてグループや個人でと、避難者の受け入れ、義援金、物資の支援、炊き出し、給水活動、被災教会の修理修繕にと支援救援に駆けつけてくれた。その後も、避難所や仮設住宅支援として物資の支援、少年会活動、慰問演奏、雅楽演奏、模擬店、ミニ運動会、餅つき大会、マッサージ、掃除など種々の支援活動を続けてくれている。
現在は、前述した催し物等の支援活動を通して、被災者の話に耳を傾け、寄り添って、少しでも安心できる場所を提供させていただけるよう心を配っている。その活動を通し、支援者同士のつながりも広がり、新たな絆・ご縁が生まれている。
種々の支援救援活動を通し、被災者自身が、恩返しをしたい、何かお手伝いをしたいとの自主的な思いから、天理教の奉仕活動に参加してくれるようになった。共に心地よい汗をかき、笑顔のひとときとなっている。これも支援活動が生んだ、新たなつながり・絆・ご縁のお蔭であろう。また、被災者同士のたすけ合いも生まれている。ある地域での仮設住宅への支援活動に、別な仮設住宅に住む避難者が参加し、たすけ合いの輪が広がっているのだ。たすけ合うということが、生きる喜びにつながり、前向きな生活が送れると言う。別々な仮設住宅で過ごす被災者同士が、心を寄せ合い、新たな縁・つながりができている。また、昨年秋に発生した大型台風の影響で伊豆大島豪雨災害が起きた際には、数人の被災者が「今度は私たちが困っている方々をたすける番」と、天理教の教友と共に、いわきの地から現地へ駆けつけ救援活動に従事してくれた。これもつながり・ご縁のお蔭であろう。もともと人間には「たすけ合う」という清らかな心が存在するのである。
「支援」活動を通し、新たなつながり・ご縁が生まれ、その人間同士のご縁を支えていく、いわゆる「支縁」が、震災から復興への大きな力になることと思う。物質的な幸せではなく、精神的な幸せが何よりも必要なのである。それには人と人の関わり合い(つながり・絆・ご縁)が欠かせない。ある避難生活を余儀なくされているおばあさんが切実に語った言葉がある。「もう何もいらない。ただ、孫と一緒に暮らしたいだけです」と。
今後は、被災者の自立を手助けする活動に取り組み、人と人とのつながりや縁を結ぶ後押しをしていきたい。