『正法眼蔵』「現成公案」提唱…青山俊董著
愛知県第一曹洞宗青年会45周年を記念して2022年5月から23年4月にかけて名古屋市の愛知専門尼僧堂と市内のホテルで開かれた全10回の「眼蔵会」での青山俊董堂長の提唱の中で『正法眼蔵』冒頭の「現成公案」に関して解説した内容が、道元禅師の生涯と共に一冊の本にまとめられた。
道元禅師(1200~53)は24歳の春に入宋し、寧波の天童寺で如浄禅師(1163~1228)のもとで修行し、「身心脱落」の大悟を得て28歳の時に帰国。京都・建仁寺を経て、1233年に深草の地に初開道場・興聖寺(後に宇治に再興)を開き、34歳の時に『正法眼蔵』(全75巻)の最初を飾る「現成公案」を著した。
1933年生まれで今年91歳の青山堂長は15歳で仏門に入り、76年に及ぶ僧侶としての人生のうち約60年間を様々な道場で修行僧と共に過ごし、その中で「現成公案」について参究してきた。その見解が、平易な表現で分かりやすく説かれている。
最初の「『現成公案』解題」では「道元禅師のお言葉に置き換えるならば『悉有仏性』となりましょう。大いなる天地悠久の働き、『サムシング・グレート』。その大いなる働きが具体的な森羅万象として現成する。これが公案現成です」(要旨)と解説する。
定価2090円、春秋社(電話03・3255・9611)刊。