絶望のトリセツ 人生の危機をのりきる方法…根本一徹・川本佳苗著
岐阜県関市・臨済宗妙心寺派大禅寺の根本一徹住職による20年余りの自殺志願者との対話から代表的なやりとりをまとめた記録。人生につまずいたり、生きづらさを感じていたり、自殺したいほど悩んでいたりする人に向けて本書を執筆したという。東京大東洋文化研究所特別研究員の川本佳苗氏が相談を疑似体験できる「根本さんの分身」となる媒体を作ることを勧め、本書という形に結実した。
24歳の時に交通事故を経験したことで死生観や人生観が一変し、出家して僧侶になった。僧堂での約5年間の修行を終え、社会勉強のために勤めた企業で従業員の相談に乗ったことがきっかけで、悩んでいる人を救うことを決意する。「死にたいほど悩んでいる人をもっと救うにはどうすればいい?」と考えた末にSNSに活動の場を広げた。
著者は「俺が自殺相談の現場で実感するのは、誰だって心の底から死にたいわけではないということだ。死にたいのではなく『生きづらい』のだ。生きることが苦しいから、消去法として死を選ばざるを得ないのだ」と語る。生きづらさを感じている自殺志願者との対話で真正面から魂をぶつけ、相談者は心を開き著者と対話する。本書の七つの具体的な事例は、孤独感を抱える現代人に絶望を乗り越える方法を示す。
定価1540円、法藏館(電話075・343・0458)刊。