ビハーラ医療団講義集 Ⅹ 老病死を支える ―仏教チャプレンの臨床レポート―…ビハーラ医療団編
昨年9月に同朋大で開かれた「第21回ビハーラ医療団研修会in名古屋」の記録を中心にまとめた。
同研修会はテーマを「老病死を支える―仏教と医療―」と定め、稲荷山武田病院チャプレンの笠原俊典氏、合志第一病院医師の和田奈緒子氏、田代俊孝・仁愛大学長、みやざきホスピタルの宮﨑幸枝副院長、佐藤第二病院の田畑正久院長が、それぞれの臨床現場での経験をリポートした。
本書の編集を担当した田代学長は1988年、同朋大で「死そして生を考える研究会」を発足。後年「老いと病のための心の相談室」を開設した。この事業は現在も真宗大谷派名古屋別院で続いている。「生の方ばかりを見ていても生きがいはわからない、死を問うたときに生が見える」として仏教の立場からこの活動を始めたと振り返った。
「燃え尽き症候群と仏教」の中で田畑院長は、急性期の医療現場では患者にとって医療者は病気を治せばよい、治療技術者としてのみ捉えられる傾向にあるとし、医療者が疲弊していく構造を指摘した。
仏教と医療は生老病死を課題としながらも協働が難しい現状に触れつつ「生死を超える仏教の発想」を医療者に理解してほしいと述べている。
定価1540円、自照社(電話077・507・8209)刊。