からだで悟る! 断食僧が教える「悩まない身心」のつくり方…野口法蔵著
著者はチベット仏教の修行を経た臨済宗僧侶で、断食に坐禅を取り入れた「坐禅断食会」の主宰・指導や、ほぼ毎日の早朝の滝行、一日数時間に及ぶ五体投地の礼拝行などを実践している現代の「行者」だ。その修行体験から導き出された「整えられたからだに悩みは生じない」という確信のもと、様々な「行」の実践方法やその効能を読者にやさしく手ほどきしてくれる。
特に五体投地行については、著者自身が30年以上にわたり毎日千回余りを継続。800万回を達成しているほどだ。体力や筋力も必要とされる完全に全身を地に着けるチベット式のやり方で行っており「からだを使った究極の瞑想法」と表現。繰り返すほどに神仏の存在を疑わないからだになり、自分自身が祈りの塊になっていくのが感じられるのだという。
著者によると、坐禅で深い呼吸をしたり何か物事に集中したりすると、思考による雑念が取り払われ、細胞自体が命を輝かせるために最善の働きをするようになる。「すると本当に困ったときに、からだが瞬時に答えを出してくれる。それは常に正解であり、からだはどんな思考もかなわない正しい存在となりえるのだ。からだがすべてである」と、行の在り方の極意を強調する。
定価1760円、佼成出版社(電話03・5385・2323)刊。