法華仏教の潮流 教えと学びの道しるべ…苅谷定彦 小西日遶 大平宏龍 三先生頌寿記念論文集刊行会編
法華宗の興隆学林専門学校や教学研究所で後進の育成に尽力してきた3人の碩学、苅谷定彦氏・小西日遶氏・大平宏龍氏の学恩に報いるため、宗門内外から45本の論考を集めた『法華仏教の潮流~教えと学びの道しるべ』が刊行された。969㌻に及ぶ大著だ。
苅谷氏は法華経原典研究の第一人者で、小西氏は門祖・日隆聖人研究を専門とするほか兵庫県尼崎市の大本山本興寺貫首を務める。大平氏は宗祖遺文の研究で知られる。3氏の専門が異なることから様々な分野からの寄稿となり、多彩な内容となった。日蓮門下の研究者らが日頃の研究の成果を発表している。
法華宗内の研究者だけでなく、渡邊寳陽・立正大特別栄誉教授が「鎌倉政権下の日蓮聖人の動向について」、末木文美士氏が「法華経の菩薩思想―苅谷定彦氏の説を手掛かりに―」を寄稿したほか、望月海慧・身延山大学長が「『教菩薩法仏所護念』考」を寄せている。
跋文で、刊行会事務局の平島盛龍・興隆学林専門学校教授は7、8年前から本書の刊行計画はあったものの時間を要したことを振り返り「研究所の発展に寄与するものであり、誠に意義深い」と記す。
法華宗教学研究所は2023年に創立から60周年を迎えた。
定価22000円、法藏館(電話075・343・0458)刊。