PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報社「宗教文化講座」

今こそ菩提僊那の継承を ― 新しい座像、東大寺で公開(2/2ページ)

ミティラー美術館館長 長谷川時夫氏

2015年5月15日
インド人の顔立ちをした像を

この展覧会に合わせ、インド人の顔立ちをした菩提僊那像づくりの計画が立ち上がった。

菩提僊那継承事業にはまだ大勢ではないが、全国から学生や様々な職業の人々が集う。インド大使や大阪・神戸インド総領事、在日インド人も参加する。その方々が大安寺や、墓所のある霊山寺にも訪れることになる。各寺、それぞれ立派な菩提僊那像、御影が祀られている。かつて大安寺には、修栄が師の遺言に従って制作した菩提僊那僧正像や御影があったと伝わるが、いずれも灰燼に帰している。鎌倉初期に描かれた四聖御影(発願の聖武天皇、勧進行基菩薩、開山良弁僧正、開眼の菩提僊那の四聖が描かれている)の菩提僊那像はインド人を見て描かれたとは思えない。誰ともなくインド人の顔立ちをした菩提僊那像があるといいねという声が出てきた。

そこで、信仰の対象として大事にされてきた四聖御影の菩提僊那を20%ほど、DNAとして入れてもらい、各専門家からの意見を伺い、ワドワ駐日インド大使と話し合い、新たな菩提僊那像を制作した。

インド大使館の協力で仏教遺跡として知られるナーランダのナーランダ大学(インド政府が三蔵法師も滞在した当時の世界の中心としての大学をイメージして再現するという目的で建学した)のパンス副学長の紹介でデリーの3D仏像制作会社が高さ1メートル、重さ30キロの座像(砂岩タイプのグラスファイバー製)を制作し、4月末に日本に到着した。

継承事業はインド大使館、東大寺が共催し、菩提僊那が日本に到着した5月18日に東大寺中門でこの菩提僊那像を初公開し、インド政府派遣の南インド古典音楽の奉納公演を行う。

東大寺で公開後、インド政府派遣の音楽グループの公演とともに、かつての難波の津がある堺の市役所(同20日)、白隠禅師の寺として知られる静岡県沼津市の松蔭寺(同21日)で紹介する。インド大使館や2日間で20万人が来場する世界最大規模のインドフェスティバル「ナマステ・インディア」(9月26・27日、東京・代々木公園)の会場でも紹介していこうと思っている。

これまでの継承事業で、多くの若者が菩提僊那は旅のプロ、しかも命がけの旅をした人で、彼の伝えた仏教などが日本人の精神的基層となっていることを知った。インドとの未来志向の交流の中で仏教を通した精神文化の遺産を現代に生かしていくことは、日本人のアイデンティティーの新たな創造に貢献すると思える。若者にとってカッコイイ菩提僊那の果たす役割は大きいと考えられる。菩提僊那座像を全国津々浦々へインド文化と共にご紹介したい。

※菩提僊那の情報については、「大安寺菩提僊那千二百五十年御遠忌法要の栞」小島裕子記を参照しました。

《宗教とAI⑤》AI時代の人間性の発露 木村武史氏7月16日

AIに意識やこころ認めるのは錯覚か 生成AIを含むAI技術開発は社会の様々な領域に影響を及ぼしつつある。技術開発の上流で実験的に行なわれている技術開発が下流の一般社会に浸…

《宗教とAI④》予測不可能性と創造の主体 冲永宜司氏7月3日

人間による意味主体的な働き 人間にはAIに代替できない性質があるかという問いには、どんなにAIが発達しても人間の役割や尊厳は失われない、という期待が込められている。そこに…

月輪大師俊芿律師800年御遠忌 西谷功氏6月24日

泉涌寺の創建 平安時代後期の日本社会は、院政の開始や武士勢力の台頭、荘園制の進展によって、律令国家以来の秩序が大きく揺らぐ時代であった。中央政治の再編と地方支配の変容が進…

皇室典範改正案 国民の総意はどこに(7月10日付)

社説7月15日

戦犯者の叫び 戦争の不合理を繰り返すな(7月8日付)

社説7月10日

急ぎ足の憲法改正論議 初心を忘れてはならぬ(7月3日付)

社説7月8日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加