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第22回「涙骨賞」を募集
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街を盛り上げる宗教のチカラ ― 住民の暮らしを豊かに(2/2ページ)

㈱地域環境計画研究所代表取締役 若狭健作氏

2014年1月1日

こうした状況を受けて、最近のまちづくりの潮流は、これまでパブリックな空間とされてきた施設や場所に、住民がどのようにかかわるのか、という仕組みづくりが求められている。「役所におまかせ」とはいかない。

貴布禰神社の江田政亮宮司にそんな話をすると「神社もまったく同じ。できるだけかかわってもらう人を増やさないと500年続いてきたお宮を守れない」と危機感を募らせた。広い敷地や建物の維持管理、季節ごとの集客など、確かに神主とその家族だけに背負わせるのは酷な話だ。「私たちは仲取り持ちですから」と奉納祭を快く引き受けてくださったのには、そんな想いもあったからなのかもしれない。

◇「機嫌のよい宗教対話」をラジオから

そんな江田宮司が、同じく尼崎市にある浄土真宗本願寺派浄元寺の宏林晃信住職とコンビを組んで2010年からラジオ番組をはじめた。「8時だヨ!神さま仏さま」という陽気なタイトルで毎週水曜日の夜8時から地元ローカルFM局で放送を続け、放送160回を数えている。

きっかけは、江田宮司と宏林住職との飲み会の席。宗教に関する僕の素朴な疑問に一生懸命答えてくださるお二人の姿を見て「これを独り占めしてはもったいない」と思いたち、ラジオ番組の企画書を作り地元コミュニティ放送へ持ち込んだ。以来、「門前の小僧」よろしく、番組ディレクターとしてお手伝いをさせていただいている。

放送2年目からは、関西学院というプロテスタント系中学校の教師・福島旭牧師もDJに加わり、神道、仏教、キリスト教の三つの宗教からリスナーの素朴な疑問や悩みに答えている。放送はインターネットでも流れ、「どうやったらお坊さんになれますか」「死んだらどこに行くのですか」「お葬式で手を合わせる時にはどんなことを考えたらいいのでしょうか」といったメールが全国から寄せられる。

番組顧問を務める相愛大学教授で宗教学者の釈徹宗さんからいただいた「機嫌のよい宗教対話」というテーマを大切にしながら、笑いの絶えない30分間をお茶の間へお届けしている。

◇暮らしにもっと身近な存在として

しかし、時には「親が生活保護を受けようとしていますが、どうやって支えればいいでしょうか」といったシビアなお悩みが寄せられることも。3人の宗教者が考え込み、ラジオ放送にもかかわらず沈黙が続いたこともあった。結局、明確なお答えは出てこなかったのだが、これこそがこの番組の面白いところだ。

どんな質問に対してもクリアに答える“すごい”宗教者ではなく、一人の人間として思い悩み、言葉を紡ごうとする彼らの姿が魅力的なのだ。

尼崎市内には神社が66社、寺院がおよそ110カ寺あり、これらをあわせるとコンビニエンスストアの数よりも多いのだという。とはいえ、街で暮らす人たちにとっては、そこまで身近な存在ではないのが現実だろう。

しかし、そこにこんなにも魅力的な宗教者たちがいるということが伝わればどうだろう。神社やお寺といった何百年も続くパブリックな空間は、街の暮らしを豊かにしてくれる力を秘めていると信じている。

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