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中外日報社「宗教文化講座」

傾聴僧の会設立し実践 魅力ある総本山へ精励

京都市上京区 浄土宗西山深草派宝樹寺 石倉真明住職

柔和な笑顔を絶やさない石倉住職 柔和な笑顔を絶やさない石倉住職

「傾聴僧の会」の事務局長として傾聴活動や研修に取り組む。「人が嫌いで一時はアートの道に進んだが、傾聴僧として活動する中で人の気遣いを感じたり、逆に救われたりすることもある」

京都の一般家庭に生まれた。縁あって英ロンドンに滞在し、現代美術の名門・ロンドン大ゴールドスミス校のファインアート科に入学した。デッサンやデザイナーとの関わりを通して基礎を徹底的に固めることや、頭で考えるよりも実践し数をこなすことの重要性を学んだという。

帰国してからは東京でアートディレクション業に従事。妻が宝樹寺の「一人娘」だったことから2006年に住職に就任した。

その後、傾聴に関する講座に参加する機会を偶然得た。講師に「僧侶は何をする人か」と問われ答えられなかった。話を聴くことが僧侶の務めだと考え、09年に傾聴ボランティアを始め、翌年には宗派を超えて傾聴僧の会を立ち上げた。福祉や医療の現場でケアを目的に傾聴に取り組んだ。

他方で、援助やケアの持つ構造的な差別に気付いた。「こうあるべきだ」という前提から外れると困っている人と見なされ、援助がないと助からないと認定される。そこには無自覚な上下関係が存在する。「僧侶は偉くなくて相手と対等か、相手よりも下。むしろお坊さんは施しを受けて救われる方じゃないか」

仏教において自己は実現させるものではなく、苦しみの根源で滅却されるものだ。「聴くことによって話し手が助かると思ったり、話し手が新しい自分を発見したりすることに違和感があった」

「傾聴僧」という言葉は「傾聴する僧侶」を指す言葉から「対等な立場で行う傾聴のスタイル」を意味するものに変わった。それに伴って宗教や職業を問わず間口を広げ、今では神職やシスター、一般のボランティアも入会する。

日常のやりとりが全て傾聴であり、ひたすら実践することが大切だという。お互いに心が動き涙するという神秘的な体験もある。「偉くない私に一生懸命に言葉を交わしてくれたことに感動した涙だと思う」と語る。

現在は宗派と総本山誓願寺の総務部長・執事として僧侶の研修の機会の充実化や、同寺をより魅力あるものとしてプロデュースすることにも努める。文字通りのアート活動からは離れたが、傾聴僧の経験を生かし、浄土宗西山深草派や誓願寺を題材に今日も「創作」に励む。

(椎葉太貴)

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