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1、大学のカルト問題 相談への対応を制度化

北海道大大学院教授櫻井義秀

2015.10.02~2015.10.23

  • 1、大学のカルト問題 相談への対応を制度化
  • 3、居場所求めて 若者、主婦らアレフ入信
  • 2、カルト入信なぜ 癒やし求める疲れた社会
  • 4、カルトの勧誘 信教の自由を阻害する

私が大学のカルト対策という課題に取り組み始めたのは1992年である。北大に赴任した年で、北海道大学新聞会が原理研究会批判をやっていた。原理研究会とは統一教会(今年「世界平和統一家庭連合」と名称変更)の学生団体で、64年に設立され、全国の大学で学生を勧誘し、「親泣かせの原理運動」として問題化した。

30年ほど経った92年でも学内で原研学生が正体を隠した勧誘を盛んに行い、新聞会が新入生に注意を呼びかける構図は変わっていなかった。私は新聞会や有志学生が立ち上げようとした「原理研究会を憂慮する会」という学内団体の顧問に推され承諾したのだが、当時の学生部長からできれば顧問就任は辞退していただけないかと依頼された。

北大において原理研究会は長らく大学公認団体で、顧問の教員がいた。統一教会による霊感商法や正体を隠した勧誘を批判する私が批判団体の顧問となり、大学のこれまでの対応を問題化したら混乱するというわけである。それこそ学生や私の意図したところだが、「天の声」は手強く、私は赴任したばかりで教員組織最下層にいる専任講師だった。学生が私の将来を案じてくれて、公認団体申請を見送ってくれたのである。

学生に情けをかけられた私は、95年のオウム真理教地下鉄サリン事件以降、授業や学生委員会でカルト対応を訴えた。次第に大学にも耳を傾けてくれる人が増え、大学祭において「幸福の科学」が心理研究会と称する勧誘を行うことに注意を促したり、大学祭を正体隠しの勧誘の場に利用されるのを懸念する学生たちにアドバイスを行ったりもした。しかし、北海道新聞や農学部自治会によって北大は学内の政治・宗教活動を禁止したとか報道され、「やや日刊カルト新聞」からカルト対応を揶揄的に批評されたこともあった。

外野は言って終わりである。北大は十年来、学生相談におけるカルト対応を制度化し、被害者本人、指導教員、保護者からの相談にも対応してきた。私は現在、学生相談室長として学生のメンタルヘルスを考えているが、カルト事情も変わってきた。