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増える難民 理解進まぬ日本社会(3/4ページ)

2016年8月31日付 中外日報(深層ワイド)

共生の仏教精神が信頼の構築に寄与

タイの難民キャンプに建設された図書館は、地元の住民の憩いの場になっている(写真提供:シャンティ国際ボランティア会・写真家川畑嘉文氏)
タイの難民キャンプに建設された図書館は、地元の住民の憩いの場になっている(写真提供:シャンティ国際ボランティア会・写真家川畑嘉文氏)
カンボジアで地元の宗教者と交流する日本の僧侶ら(写真提供:シャンティ国際ボランティア会・写真家川畑嘉文氏)
カンボジアで地元の宗教者と交流する日本の僧侶ら(写真提供:シャンティ国際ボランティア会・写真家川畑嘉文氏)

カンボジアの難民支援などを続ける神野哲州・曹洞宗地蔵寺(名古屋市天白区)住職(67)は仏教精神に基づく支援について「平等の視点に立ち、互いの人格を認め、人間の尊厳を守ること。単に余っている物を送るのではない」と語る。

10年ほど前、神野住職は同国の難民キャンプを訪れ、車のエンジンを改造した中国製のモーターでメコン川から生活用水をくみ上げる様子を見学した。見るからにボロボロの機械だったので「新品の日本製モーターを5台ほど寄付させてほしい」と申し出たが、断られた。現地スタッフの「現地の声を聞きもせずに、かわいそうだからという一方的な押し付けは要らない」という言葉が今も脳裏に焼き付いている。

曹洞宗東南アジア難民救済会議として1980年に設立した「シャンティ国際ボランティア会」(SVA)は現在、タイやカンボジア、ラオス、ミャンマーなど仏教国を中心に、図書館の建設や運営などの支援活動を行っている。根底にあるのは「共に生き、共に学ぶ」などの仏教精神だ。鈴木晶子・広報課長(34)は「現地の人は寺を中心に生活しており、こちらが仏教の教えに基づいていることに敬意を表してくれる」と話す。

こうした海外での活動を続けるには、国内からの支援が不可欠で、そのために多くの日本人に活動を知ってもらう広報が何より大事だ。

SVAは「何が難民キャンプで起きているのか」などを伝え、難民に届けるための衣類や絵本を募る活動を展開している。また、僧侶を対象に支援対象国の仏教文化を学ぶツアーも開催している。

2013年のカンボジアのツアーに参加した真壁太郎・曹洞宗雲龍寺(鳥取県米子市)住職(34)は、同国第二の都市バッタンバンを訪問し、難民を生み出す一つの要因となったポル・ポトによる虐殺の歴史を学んだ。犠牲者が祀られている慰霊塔や地域の復興に尽力している僧侶や信徒と交流した。

現地で信者の女性たちが僧侶の食事を用意するなどして功徳を積もうとする姿を見て、真壁住職は仏教が地元の人々の拠り所になっていることに感銘を受けた。「何かできることはないか、国内でも苦しんでいる人々がいると思い、行動を決心した。海外の難民支援についても取り組みたい」と前向きだ。