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依頼主と納得し合える仕組みを 僧侶派遣じわりじわり浸透(5/5ページ)

2016年8月10日付 中外日報(深層ワイド)

「キックバック」明示を 布施は手数料と違う

<大谷派の瓜生住職>

法話する瓜生住職

滋賀県東近江市・真宗大谷派玄照寺の瓜生崇住職(42)は派遣僧侶としての経験を踏まえ、積極的に意見を発信している。

派遣が抱える多くの問題にも目を向け、企業への布施の「キックバック」を厳しく非難。

「運営するために経費が必要になるのは理解できるが、施主には布施のキックバックが伝わっていない。普通の商取引であれば、どれだけの割合をバックしているかはクライアントに知らせる必要はないが、お布施の場合はそうではない。非課税のお布施と手数料は性質が違う。キックバックのことも依頼者に明示すべきだ」と力を込める。

瓜生住職が僧侶派遣会社に登録したのは、5年ほど前。これまで100件を超える葬儀・法要を営んできた。

2011年に入寺した玄照寺の門徒戸数は約40軒。門徒を増やそうにも、真宗寺院が多い滋賀県では菩提寺がある家が多く、他の寺院との軋轢が生まれる。新興住宅地への布教に力を入れるが、すぐに門徒の増加につながるわけでもなく、限界があった。

生活費を得ようと、自坊でできる副業としてシステムエンジニアの仕事をしているが、報酬が入るのは受注後、最短でも半年ほどかかる。そんな中で「僧侶としての仕事をして収入を得られる派遣は魅力的だった」。

登録した当初は「お寺とのつながりもないし、安く済ませたいという人が来るのでは」と思っていたが、依頼してくる施主と顔を合わせることでその考えは変わった。「法話も真剣に耳を傾けてくれる。本山への納骨を勧めれば、応じてくれる。『お義理参り』ではない。寺や親類などから葬儀を迫られるといった『しがらみ』がないのに依頼してくるということは、仏教を必要だと思っている証拠」と話す。「しっかりと読経し、法話をすれば、次の法要の依頼がある。こちらの力量が問われる」と布教の手応えを感じている。

派遣を「入り口」として、結果として仏教が広がることにつながることもある。

瓜生住職は、僧侶派遣の背後にある本質的な問題は「(寺院間、僧侶間の)格差問題」だと指摘する。「大きな年収を得る僧侶がいる一方で、寺院の収入だけでは生活できず、働きに出なければならない僧侶も多くいる。門徒を増やそうとしても、実際は多くの人が寺檀関係で縛られている。努力を重ねても門徒を増やすのが難しい中で、派遣に登録しようとする僧侶が出てくるのは当然。こうした伝統仏教教団の構造が温存されれば、僧侶は布教の意欲を失うことになるだろう」