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“点から面へ”参拝者を誘致 地域での在り方変える中小伝統仏教本山(1/4ページ)

2016年6月29日付 中外日報(深層ワイド)

中・小規模の伝統仏教教団の本山が観光客や参拝者の増加を目指し、様々な取り組みを始めている。大教団に比べて所属寺院数が少ない教団では、本山護持のために参拝収入や墓地・納骨堂収入などが不可欠で、その工夫が一層求められる。本山という「点」ではなく、地域社会を含めた「面」の活性化を目指す中で、従来の在り方から変わろうとしている本山の姿が浮かび上がってきた。(萩原典吉)

本山専修寺本山も僧侶も意識変え「観光客呼び込む」

御影堂を背景に、境内に並べられた鉢で咲くハスの花。本山イメージのシンボルとしても開花が期待されている

真宗高田派は、本山専修寺(津市)の参拝者・観光客の増加を目指して今夏から名物のハスをメーンとした様々な事業を展開する。広く観光客を誘致するのは初の試みで、「ハスの寺」といえば誰もが専修寺を連想するイメージを定着させたいという。

三重県を観光で訪れる人は大半が伊勢に行き、真宗門徒以外で専修寺を訪れる人は少ない。周辺の寺内町は1月のお七夜報恩講など以外、閑散としている。

その現状を打開するため、今月から宗務院に広報課を設置した。安藤光淵宗務総長は「対外的なPR活動、魅力的な料理や参拝経路の設定、本山職員の受け入れ態勢の3点に力を入れていきたい」と話す。

当面の目標は1日バス2台(40人×2)の来場。年間約3万人の集客を目指す。半日から1日かけて専修寺で過ごすプログラムを企画し、今秋からはハス料理も味わってもらう予定。最上ランクの料理は料亭と連携して、重要文化財の御対面所でもてなす。客層は名古屋圏内の50~70歳の女性を念頭に置き、マスコミや旅行事業者への広報活動を進める。

これに先立って、境内にある100鉢のハスのオーナーを募るイベントを開く。シーズン後にはハスを有料で株分けし、自宅でも翌年の開花を楽しんでもらう。その資金を元に2、3年後にはハス鉢を300に増やす方針。

本山周辺の寺内町の商工振興会とも連携して事務局を作り、今年1月には初の「一身田印」の商品としてハスを使った6種の新作スイーツを認定した。今後はハスに関する小物、植木鉢、書籍などを購入でき、ハスに関しては何でもそろう町になるように呼び掛ける。

ただ専修寺の観光活動は収益が目的ではない。本山の知名度を上げることで、宗門内の寺院や門信徒の所属意識が高まる波及効果に期待する。そのため観光事業の目的は教化伝道と派内活性化に置いている。

専修寺の歳入は納骨堂冥加が約6割を占める(2016年度予算で実質収入2億8680万円のうち、納骨堂冥加が1億7550万円)。かつては本山納骨が門徒のステータスだったが、今はその求心力が無くなってきた。従前の法要・行事を通して知名度を上げることは難しく、広く一般が認める新たな本山像をつくり上げることで、僧侶や門信徒の意識を変えていきたいという。