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「杜のまちや」を開設 防災・住民交流の拠点

東京都板橋区 天祖神社

2017年4月26日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

竣工祭には、地域の住民や行政関係者ら約100人が集まった
竣工祭には、地域の住民や行政関係者ら約100人が集まった

東京都板橋区の天祖神社は2日、境内近接地に多目的コミュニケーション施設「杜のまちや」を開設した。木造の地上3階、地下1階。町屋風のデザインと構造で、真新しい木材の香りが漂う。防災拠点として活用するとともに、地域住民が自由に集い、交流できる場所として神道教化にもつなげたい考えだ。

「杜のまちや」は、3階が絵馬や古文書など神社をはじめとした地域の文化財を展示するスペースとなっており、2階では地域の子どもたちへの学習支援「寺子屋活動」も行える。通りに面した1階はオープンキッチンを備えて、老若男女が集うことができる空間となっている。

建設に当たって、商店会や町会など地域住民の声を反映させるためのワークショップを6回開いた。その結果、地域防災への関心が高いことが分かった。そこで板橋区と「災害時における帰宅困難者対策の連携協力に関する協定」を結び、建物地下に水や食料などの物資を備蓄。防災拠点としても役立てていくことにした。

シンボルキャラクターに江戸時代の文人・大田南畝(1749~1823)を起用した。1797(寛政9)年にこの地を訪れて参拝した記録が残り、今年は来訪220年に当たる。建物内にはコーヒーをすする南畝の姿などのパネルが各階に飾られ、人々の交流の様子を見守っている。

「人がやらないことをやって、それがうまくいくと、やりがいを感じる」と語る小林保男宮司(78)。社会状況の変化によって氏子制度が崩れつつあるとの危機感を抱く中、それでも神社という存在は、いまだ地域の活動の中心としての公共性を有しているとの思いがある。

これまでも鳥居の隣の土地を地域に提供し、民間交番「森の番所」を設置するなど、地域社会のために神社としてできることを積み重ねてきた。「杜のまちや」は、そうした活動の延長にあると小林宮司は話す。

「個人主義が跋扈する時代にあって、“みんなが集まって何かやろう”というコミュニティー文化を再発見していこうとする試み。神道精神にもかなっており、今後活動がうまく展開していけば、神社の教化活動の新たな在り方の答えにもなる」と期待を込める。

(佐藤慎太郎)