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タケノコ通じて仏教100年

埼玉県飯能市 天台宗八王寺

2017年2月1日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

昨年に開かれた雨竹会ではコカリナやオートハープ演奏が行われた
昨年に開かれた雨竹会ではコカリナやオートハープ演奏が行われた

埼玉県飯能市の西武鉄道池袋線の飯能駅から車で30分の山中に天台宗八王寺(竹寺)はある。檀家を持たない寺だが、約100年前から地元住民や信者に親しまれてきたのが、毎年5月5日に開かれる「雨竹会」だ。参加者は、タケノコ料理や演奏、講演を通じて仏教に親しむ。

大正時代、近隣にあった吾野村と名栗村の村人が、タケノコ料理を食べながら交流を図ったのが始まりとされる。戦後、寺まで道路が通るようになり、車で訪れる参拝者が増えた。そこで「雨竹会」と名称を変え、規模を大きくして音楽なども楽しむ集いにした。

2015年に100回を迎え、大野亮弘住職(70)と親交のある音楽家の石田桃子さんと、弟でタレントの石田純一さんが出演。純一さんは自身の青春時代や恋愛について話し、会場を沸かせた。参加者には特別なお守りが授与され、長年、同会の振興に尽力した人たちに大野亮雄・名誉住職が感謝状を手渡した。

講演者は亮弘住職が縁をたどって依頼。これまで、昭和を代表する漫才師である獅子てんや・瀬戸わんやのてんやさんや、ギタリストの原壮介さんらも舞台に立った。

亮弘住職は「説法らしくない方がいい。日常的な言葉の中に仏教用語がある」と話す。石田純一さんの講演を聴いたある参加者は「テレビで見る姿とは違った。意外といい話をする」とつぶやいた。「内容に加え、どこで聴くかによって受け止め方は異なる。5月の新緑の季節に、お寺という場で話を聞くこと自体に御利益がある」

竹寺で「雨竹会」と並んで人気があるのが、春(3~6月)と秋(9~12月)に開かれる「精進料理の会」だ。亮弘住職の法話を聴きながら、竹寺近隣で採れるタケノコや山菜、クリ、ギンナンを楽しむ。「法を説くというより、食材の効能などを主に話している。平坦な言葉の中で、一つでも心に残ればと思っている」と語る。

松葉杖をついてきた外国人の参拝者が、精進料理を食べた後、杖を忘れて歩いて帰ろうとしたという笑い話があった。「痛みを忘れるくらい気持ちが和らいだのでしょう。その力がお寺にある」と笑う。

(甲田貴之)