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手作りの品々、人々つなぐ

静岡県松崎町・臨済宗建長寺派帰一寺

2016年11月30日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

子ども連れのお母さんたちが参加する「てらこやワークショップ」(左から2人目が真沙美さん)
子ども連れのお母さんたちが参加する「てらこやワークショップ」(左から2人目が真沙美さん)

伊豆半島の西側、静岡県松崎町にある臨済宗建長寺派帰一寺。最寄りの駅からバスで約30分かかる同寺で開かれる手作り市「満宝喜市」には、老若男女約800人が集まる。寺庭婦人の田中真沙美さん(34)らが、寺を中心とした地域活性化に励んでいる。

境内、本堂内に設けられたテントやテーブルには、アクセサリーやガラス細工、陶芸品、編み物やアロマ、お守りなど多種多様な品が並ぶ。いずれも手作りで一点物ばかり。訪れた人は真剣なまなざしで品定めしながら、制作者でもある出展者と笑顔で言葉を交わす。本堂内には演奏家によるボサノバが流れ、外では焼きたてのピザやパン、フランス料理店が手掛けたランチボックスの匂いが食欲をかき立てる。

大切にしているのは「おしゃれ」な雰囲気だ。真沙美さんは「ゆくゆくは東京など全国から来ていただき、町全体の活性化につながれば。そのためには、来たくなるような全体の雰囲気をつくることが必要だ」と話す。

田中道源住職(37)も真沙美さんも県外出身で、妙心僧堂での修行中に先代住職が亡くなった帰一寺への入寺を勧められ、この地にやって来た。約2年間の無住期間もあったため「子どもたちが境内を遊び回り、地域の人々に寺で楽しい思いをしてもらいたい」と今年1月に第1回を開催した。

「満宝喜市」の名前は同寺の「萬法山帰一寺」に由来する。また「そもそもの禅語も、この世に存在しているものは全て共存し合っているという意味だと思っている。作る側も買う側も、いろんな人がつながり合う場にしたいという意味を込めた」。檀家の子どもたちもスタッフとして手伝いに訪れ、檀家との親交も深まっているという。

このイベントから派生した「てらこやワークショップ」も好評だ。近隣の女性が子ども連れで参加し、アクセサリーを作りながら、和気あいあいとした雰囲気で話し合う。自身も3児の母である真沙美さんは「今は年配の方に子育てなどについて教わる機会が少なくなった。いずれは味噌造りを教えてもらうようなこともできれば」と意気込みを見せる。

(甲田貴之)