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無住寺院再興、地域に開く

神奈川県藤沢市・曹洞宗長福寺 谷﨑無奏住職

2016年11月16日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

境内にあるエンディングサポート明光の相談室で、様々な相談に乗る谷﨑住職(右)と担当者の髙橋俊臣さん
境内にあるエンディングサポート明光の相談室で、様々な相談に乗る谷﨑住職(右)と担当者の髙橋俊臣さん

もともと無住だった曹洞宗長福寺を地域に開かれた寺院として再興した。今では坐禅会はもとより太極拳や空手、絵画、書道などの教室が開かれ、多くの人でにぎわっている。昨年からは一般社団法人「エンディングサポート明光」をスタートさせ、高齢者の生活支援等も行っている。

谷﨑無奏住職(61)は熊本の在家に生まれたが、母親が寺院出身ということもあり、大学卒業後に出家した。36歳の時、鎌倉に近い同寺の住職になった。当時、檀家はわずか4軒。生計のため、鎌倉の繁華街で托鉢をした時期もあったという。地域の僧侶から法事に呼ばれたり、霊園を手伝ったりする中で、先祖供養の大切さや寺院経営のノウハウを学んだ。

会員制を取り、今では会員は800軒に。当初から続ける坐禅会は毎週土曜日に行い、10~12人が定期的に参加する。昨年からは月末に祖録(無門関、碧巌録、従容録等)の勉強会も始めた。マインドフルネスの流行などで、参禅者は増える兆しを見せている。

盆や施餓鬼の参列者も増加傾向にあると胸を張る。「皆さんと一緒にお経を唱えるが、内容が分かりやすいということが大切だ」と言う。「父母恩重経」などを読誦するが、ユニークなのは宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を読むことだ。作品の末尾に列記される菩薩の名前を特に意識して紹介している。谷﨑住職は「理想的な菩薩行を説いたもの。身近なものを通じて仏教を知ってほしい」と語る。

昨年から始めたエンディングサポート明光は好評で多くの問い合わせがある。自分や家族の終末期を事前に考えてほしいとの思いから始めた事業だが、独り暮らしの高齢者の生活支援も行う。生活に関する多種多様な相談があり、行政や民生委員、行政書士等の専門家につなぐ役割を果たしている。

花まつりなどのイベント、宿坊、霊園経営など様々なことを手掛ける谷﨑住職は「仏教は生きる道を学ぶ教え。お寺の行事を通じて、今、ここを懸命に生きることを知り、宗教的な生活を送ってほしい」と願っている。

(赤坂史人)