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生活再建、展望見えず 東日本大震災6年(2/2ページ)

2017年3月8日付 中外日報(時事展描)

離檀責められない 大谷派西願寺

同じ富岡町本岡の真宗大谷派西願寺は原発から約7キロの帰還困難区域にあり、避難指示解除の対象外だ。

境内の空間線量は毎時10マイクロシーベルト程度で、浄林寺の20倍以上。いわき市に新築した木造2階建て7LDKの分院を拠点とする吉田信住職(60)の避難生活は今後も続く。

震災後、門徒は県内を中心に各地に離散し、約100軒が離檀した。「『これまでお世話になりました』と電話一本の家もある。うちとしては非常に大変」だが、離れていった門徒を責めることはできない。

墓参に合わせた法務などで月に10日程度、町に許可をとって寺に赴く。帰還困難区域への立ち入りは防護服の着用も必要だが、「着る人は少ない。マスクはしますが、防護服を着ていては不便ですから」。

立ち入りに関する実際の規則の運用は結局は「自己責任」で、住民の意向を無視した今回の解除も「身勝手な話」と思わざるを得ない。

寺の将来は住職後継者の長男(25)の意思を尊重する。個人的には「なるようにしかならない」と考えている。ただ、事故から6年がたった今も分からないことが多過ぎる。

門徒に放射線量の計測を担当する東電社員がいる。「『この数値にはどういう意味があるのか』『何のために測っているのか』と問うても彼には答えられない。放射能のことは誰も分からない」と淡々と話す。

 

【避難寺院の補償問題】

原発事故後、超宗派の寺院で組織する「原発事故被災寺院有志の会」が東電と損害賠償について協議してきた。

事務局長の早川住職によると、概ね▽伽藍は同規模の堂宇の新築費▽境内地は周辺地価に準じた算定額▽仏像・仏具類は再取得価格――の補償で合意。他方、事故がなければ本来得られた逸失利益の補償は2月に終了したため、継続を求めて交渉中だという。