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地域の宝は地域で救う「文化財レスキュー」(1/2ページ)

2016年11月11日付 中外日報(時事展描)

大規模な自然災害が起こった際、寺院に伝えられ、地域の信仰の核にもなってきた文化財にも被害が及ぶ恐れがある。被災文化財等救援事業(文化財レスキュー)は、被災した文化財を一時的に安全な場所に保管し、修復保存するもので、東日本大震災を機にその必要性が改めて認識された。しかし、いざというときに専門家の力だけでは十分に対応できないこともあり、文化財行政側と所有者との事前の連携体制の構築と、檀信徒を含めた地域ぐるみでの文化財保護に対する意識づくりが必要となる。(佐藤慎太郎)

竜巻被災で市が実施

「お地蔵さまの日」には、地蔵像を実際に手に取ることができた
「お地蔵さまの日」には、地蔵像を実際に手に取ることができた

真言宗智山派浄安寺(埼玉県熊谷市)の千体地蔵堂は、2013年9月に発生した竜巻により倒壊した。被災した「千体地蔵」の修復と今後の保全を地域全体で応援してもらおうと、10月23日に同寺が開いた「お地蔵さまの日」には、市内外から多くの参拝者が訪れた。

近所に住む80代の檀家の男性は「この中には子どもの無事な成長を願って、私の同級生が奉納したお地蔵もある。地域の宝であり、後世に伝えるためしっかり保存できる体制ができればありがたい」と語った。

市内に多くの被害をもたらし猛威を振るった竜巻が地蔵堂を直撃し、飛ばされた戸が数百メートル離れた田んぼで発見された。江戸時代から奉納され続けてきた身丈20センチ前後の約650体の木造地蔵像は、堂の本尊と共に建物の下敷きになり散乱した。

「千体地蔵」が熊谷市指定文化財であったことから、同市としては初めて「文化財レスキュー」を実施。同市江南文化財センターは竜巻から10日後、崩落した地蔵堂の解体時に、檀家らと共に内部から仏像を救出した。像に付着した土砂を除去した後、同寺本堂に移して毀損や欠損を確認しながら水洗いし、剥落防止の措置などを施した。