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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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熊本地震半年、進まぬ復興(1/2ページ)

2016年10月14日付 中外日報(時事展描)

熊本県を中心に大きな被害をもたらした熊本地震の発生から14日で半年。復興に向けて、被災地の宗教者は神仏がもたらす「安心」を胸に被災者と共に歩んでいる。(池田圭)

倒壊した神殿手つかず

西原村の白山姫神社。拝殿は正面の斜面から落ちて全壊したという(8日)
西原村の白山姫神社。拝殿は正面の斜面から落ちて全壊したという(8日)

死者21人、家屋全半壊5千棟以上など最も大きな被害に見舞われた熊本県益城町は現在も手付かずの被災家屋が多く、中心部に鎮座する木山神宮では倒壊した神殿が無残な姿のまま。熊本市中心部でも、立ち入りの危険性を告知する張り紙がされたビルや家屋があちこちで見られた。

「復興はほとんど進んでいない」。県内108カ寺のうち81カ寺が被災した日蓮宗の濵田義正・熊本県宗務所所長(66)は「被災家屋の公費解体の申請受け付けが始まったが、解体の予約だけで数カ月はかかるといわれている上、建設業者の人手不足も指摘されている」と説明する。

罹災証明の発行などに伴う調査で「見た目よりも大きな被害であることが判明するケースも少なくない」と寺社関係者は口をそろえる。

熊本市で6日までに市が計画した仮設住宅(市内9カ所、計541戸)の建設が完了するなど、県内は被災者が避難所などから仮設住宅に移る過渡期に入った。今後は入居者の孤立防止が課題になる。

9日、宇城市の当尾仮設団地で超宗派の宗教者らによる初めての炊き出しが行われた。74戸に189人が入居したばかりの市内最大の仮設住宅で、同市の糸山公照・真宗大谷派光照寺副住職(40)が企画した。

市内の池田智道・曹洞宗妙音寺副住職(41)や大谷派熊本教区の有志らでつくる「TEAM熊本」、市社会福祉協議会の傾聴ボランティア、山口県のラーメン店経営者ら約30人が、入居者にラーメンや餃子などを振る舞った。

「お墓のことが心配。それを早くお寺に言っておかなくても大丈夫?」。不安そうな入居者の檀家女性。しかし、池田副住職が「大丈夫ですよ。震災を機にみんなが今、考え始めたところですから」とやさしく説明すると、安堵の表情が浮かんだ。