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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 27(1/3ページ)

2012年11月22日付 中外日報
宗教の力――。押し寄せた津波が避けるように無傷で残った神社の祠が信仰の対象になっている(宮城県名取市の仙台空港前で)
無傷で残った神社の祠が信仰の対象になっている

心の内を共感的に理解

宗教を現場で実際活用

岡部健医師(62)が、死に関する心のケアに宗教の力が欠かせないと確信したもう一つの契機が震災だった。病院のある名取市は一帯が津波に襲われた。犠牲者のほとんどが溺死で「医療」の出番はなく、岡部医師も体調不良を押して医師会メンバーで千人近くの死亡診断書を書いた。

患者もだが、病院の看護師Yさんが訪問看護の先で、寝たきりの患者を津波から助けようとしていて亡くなった。病院スタッフは落胆して立ち直れない。そこで、たまたまボランティアで近くにいた若い僧侶を呼び、供養してもらった。「お経は下手だったけど、それで劇的に皆の心が落ち着きました。医療・科学にはない宗教・儀礼の力を思い知りましたね」

岡部医師には「宗教的原体験」もあった。無残な廃虚を前に、人間の無力さと、自然という大きないのちの一部であるということを感じた。そして心の相談室の僧侶や牧師たちが被災者の悲嘆に寄り添う現場に一緒に立ち会い、宗教者の役割への確信が形を結んだ。

その「臨床宗教師」養成の講座を立ち上げた宗教学者の鈴木岩弓・東北大教授(61)は、もともと宗教の民俗的側面、地域での働きに注目していた。「実践宗教学寄附講座」として発足したのは今年4月。世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会や各宗教団体などが寄付で支援した。